子供の可能性は「正解主義」では引き出せない

「信じて任せる」ことが生きる力につながる

松野先生に約1年半面倒を見てもらったおかげで、体も大きくなり、実際にいじめから抜け出すことができ、大嫌いだった体育の授業も前向きに参加できるようになりました。やはり期待されると期待に応えたいと思うし、伴走してもらったことで小さな成功体験をしっかり見て共有してもらえたため、自己効力感が得られたのだと思います。

加藤:すばらしい先生ですね。松野先生のように、Teach For Japanのメンバーも教育現場でご活躍だと思いますが、具体的にどのような活動を?

思いを持った先生を状況的に厳しい学校に紹介している

松田:私たちの活動のミッションは「教育格差の解消」と「多様な経験をしている情熱ある人材の教育現場への派遣」です。前者は当然かもしれませんが、就学援助率が高くて教育環境がなかなか大変な学校で教えたいと思う若手教師が減ってきています。同じ待遇・同じ身分にもかかわらず、仕事量が何倍も多かったら少しでも就労条件の良いところで教えたいというのは理解できます。しかし、大変な学校にこそ人的リソースをどんどん投下していかなければなりません。だからこそ、私たちは思いを持った先生を状況的に厳しい学校に紹介しているわけです。

加藤:なるほど。

松田:後者ですが、文部科学省の制度を活用し、教育委員会と連携しながら、教員職課程を出ていない人にも免許を付与する「特別免許状」という仕組みを私たちは活用しています。たとえば、元プロサッカー選手や商社マン、バンカー、青年海外協力隊の隊員など、さまざまな社会人経験を持った「プロ」がたくさんいます。そのプロを積極的に採用して教員免許を付与するだけでなく、事前トレーニングや現場に入ってからもメンタリングやコーチングなどのサポート体制を整えて教育学部出身でない人材が教育に携わりやすくする役割を私たちは担っているわけです。

日本の教育は正解主義。かつてはそれで良かったが…

加藤:教育格差以外に日本の教育の問題点を挙げるとしたら?

松田:日本の教育が崇拝してきた「正解主義」は問題だと思っています。要するに、すべてを○(まる)か×(ばつ)かで判断する考え方です。たとえば英語のテストで「.(ピリオド)」が抜けていたから×になることってよくある話だと思うのですが、本当の世界でここまで原理原則に忠実に従うことはないと思います。英語を学ぶという教育の本来の目的で考えて、ピリオドの抜けが失敗になるような教育って本当はしてはいけないのではないでしょうか。ただ難しいことに、正解主義がまさしく正解だった時代もあるので、まだその頃の価値観からシフトできていないのも問題なのかもしれません。

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