東京のバレンタインは、夜の美術館で 会社帰りに『名画でホッ』する醍醐味

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今年のバレンタインデーは平日。それならば会社帰り、夜の美術館で待ち合わせてはいかがだろうか。

たとえば、東京駅丸の内北口の東京ステーションギャラリーは20時まで、六本木の森美術館は22時まで開館している。金曜日ならブリヂストン美術館、サントリー美術館、Bunkamuraザ・ギャラリーも夜間開館をしている。

おおむね閉館30分前までに入ればいい。1時間前に行ければ理想的だ。食事をする前に一緒に見ると楽しいし、1人でふらっと入って、そのあと静かなバーで図録を眺めるのもいい。

夜間開館をしている美術館のひとつ、丸の内の三菱一号館美術館では、「奇跡のクラーク・コレクション-ルノワールとフランス絵画の傑作-」が開かれている。木・金・土曜日は20時までだから会社員にも利用しやすい。フランス印象派の絵画を中心に73点が展示されている。

最大の見どころは22点のルノワール作品だ。

ピエール=オーギュスト・ルノワール『劇場の桟敷席(音楽会にて)』1880年 油彩/カンヴァス クラーク美術館蔵Image©
Sterling and Francine Clark Art Institute, Williamstown, Massachusetts, USA

ルノワールを心ゆくまで

日本でも圧倒的な人気を誇るルノワールは、1841年、仕立屋の父とお針子の母の下に生まれた。陶器の絵付け職人からスタートし、画家に転じる。1874年に、モネやドガなどの若手画家とともに第1回印象派展に参加し、印象派を代表する画家になっていく。

『劇場の桟敷席(音楽会にて)』は、フランス文部省の高官から2人の娘の肖像画の注文を受けて制作された。完成した作品を依頼主は気に入らず、受け取らなかった。しかし、ルノワールはその作品を破棄せずに、2人の娘を特定の人物ではなく一般的な少女に描き直した。実は右上のカーテンの部分には男性が描かれていた。

次ページ絵をじーっと見てみると……
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