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なぜ丸の内は、“新しい感じ”がするのか? "ミスター丸の内"の、人を呼び込む力

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  • 猪澤 顕明 東洋経済オンライン編集部長
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JR金沢駅の駅前で開発が進められていたビルには、三菱地所を含めて7社の地権者がいた。彼らの意見を取りまとめるのが、渡邉氏たちのチームの役割だった。とはいえ、ビルの開発に対する考え方は各社各様。意見調整は難航した。

特に苦労したのが、保険会社との調整だった。保険会社はデベロッパーとしての側面もあるが、本来的には金融機関なので、ビル開発を投資という観点から考える。金融商品なのだから、リターンはどうなのか。仮に担当者がそう思っていなくても、その背後にある組織は必ずそう考える。したがって、ビル全体をオフィスとして貸し出したほうがリターンはいい、という「I will」に行きつく。

しかし、渡邉氏らの考えは違った。「オフィスを入れたほうが短期的なリターンはいい。でも、中長期で見たとき、そこで働いている人がそのビルに入居していてよかったと思える施設も入れるべきではないか。

わかりやすい例だと、ランチに使えるおいしい飲食店だったり、スポーツジムだったり。ビルは一度建てたら50年くらいは存在し続けるものなので、20~30年先まで考えて投資すべきだと考えた」。

そんな確固とした「I will」を持ったうえで、相手側の立場に立てるかどうか。担当者がどう思うか、と同時に、その人の背後にある組織がどう考えるか。そこに思いをめぐらせながら、話し合いの中で向こう側の「I will」を具体的に拾っていく作業を繰り返した。

「コミュニケーションの中で、このフレーズはこういうときに出てくるな、と感じ取る。対面している人と話しながら、その後ろをつかみ取る。そのうえで、自分なりに『いいな』と思ったものは、どう取り入れられるかつねに考える。

『違うな』と思ったら、説得する作業を繰り返す。そこまで行けたら、その人はわれわれと同じチームの一員になる」。

”夢想”を、具体化するには

金沢での経験を踏まえて、渡邉氏は丸ビルにもいくつかの「I will」を持ち込んだ。そのひとつが「テナント企業が自分たちの製品をプロモーションできるスペースをつれないか」というアイデアだった。

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【名所、マルキューブ設置へ】

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