「サウジ宗教警察」と戦う無謀な男の正体

イスラム教に縛られる国で聖職者に物言い

ジッダの宗教警察に就職したとき、ガムディは自分の宗教的信念と矛盾しない仕事を見つけたと思っていた。数年後に彼はメッカに異動となり、そこでいくつもの仕事を経験した。

だがガムディは、宗教警察の仕事のやり方に対する懸念を募らせていた。同僚たちは宗教的情熱のせいで過剰反応することがあり、一般住宅に乱入したり、逮捕者に恥をかかせたりしたのだ。

「たとえば酒を飲んだ人がいたとしよう。これは宗教への攻撃にはあたらない。だが同僚たちは極端なやり方でそうした人々を扱った」とガムディは言う。

闇に葬った研究が日の目を見ることに

2005年、メッカの宗教警察の責任者が死亡し、ガムディはその後任となった。管轄区域にはイスラムの聖地もあり、広く多様で、約90の署があった。ガムディは職務をきちんとこなそうと最大限努力していたが、一方で取り締まりは見当違いなのではないかという懸念も持っていた。

彼は個人的に、何がハラールで何がハラームかに関する手引きを求めて経典をひもとき、預言者ムハンマドの言葉を読んだ。そして自分の発見について論文を書いた。

「学者が『これはハラームだ』と言うのを聞かされるのには慣れていたけれど、その根拠について聞かされたことは一度もなかったので驚いた」と彼は言う。自分のような立場の人間がそうした結論に達することの危険を理解した彼は口をつぐみ、研究書類もしまい込んだ。

だが彼の研究は、ほどなく日の目を見ることとなる。

ガムディが自分の世界観を見つめ直していたのとちょうど同じころ、当時のアブドラ国王が世界水準の大学「アブドラ国王科学技術大学(KAUST)」の開学計画を発表した。この大学が男女共学で、女子学生に服装規定がないことにサウジの宗教界は衝撃を受けた。

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