「サウジ宗教警察」と戦う無謀な男の正体

イスラム教に縛られる国で聖職者に物言い

委員会では同僚たちから避けられるようになった。そこでガムディは早期退職を希望し、すぐに認められた。

退職後、ガムディは礼拝の時間に店を一時閉店させることや、人々にモスクに行くよう強いること、女性のベール着用や運転禁止といったほかの慣行についても疑問を持つようになった。

問題提起をするたびにガムディはひどい反感を買った。ツイッターで女性から、顔を見せるだけでなく、化粧もしていいかと問われた時には「もちろん」と答えて攻撃を受けた。

妻は夫の行動に何を思うのか

2014年には、人気のトーク番組に妻とともに出演。妻はテレビカメラの前に顔を出し、夫を支持していると述べた。宗教界のトップからは厳しい反応が飛び出した。

「この男が悪者なのは間違いない」と高位の聖職者は述べた。「国家は誰かに命じてこの男を召喚させ、拷問する必要がある」

最近ではガムディは侮辱されるのを嫌ってあまり人前に出る活動はしていない。定職はないが、主に外国の新聞に定期的にコラムを書いている。妻のジャワヒルは、こうした経験によって思わぬ方向に人生が変わったものの、夫と同様に自分も後悔はしていないと言う。

「私たちはメッセージを送ったのであり、自分たちが表に出続けて有名になることが目的だったのではない」とジャワヒルは言う。「社会に向けて送ろうとしたのは、宗教は習慣や伝統ではないというメッセージだ。宗教とはもっと別のものだから」

(執筆:Ben Hubbard記者、翻訳:村井裕美)

(c) 2016 New York Times News Service

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