佐藤優の教育論「偏差値を追うと人格が歪む」

『子どもの教養の育て方』特別編(その1)

佐藤:僕は外務省で教育係をやったんです。キャリア、ノンキャリア問わずにロシア語を教えるのですが、特に語学の場合は、適性が影響するので、適性がある人間だと頭が3つくらい抜けちゃう。

佐藤優(さとう・まさる)
作家・元外務省主任分析官
1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。 2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。06年に『自壊する帝国』で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『読書の技法』『獄中記』『交渉術』『外務省に告ぐ』『国家の「罪と罰」』など著書多数

みんな最初は、どんぐりの背比べだと思って一生懸命勉強するんです。ところが、ある人間が頭1つ抜けちゃっていつも1位で固定すると、2番目以下はいっさいやる気を失う。そうすると個別指導に切り替えないといけなくて、集団指導ができないんです。

それから、外務省で初の例だったのですが、文部教官の発令を受けて、東大の駒場の専門課程で教鞭を執っていたんです。ご存じの方もいると思いますが、教養学部の専門課程というのは、東大の法学部よりも内部進学点が高い。極端な秀才の集まりで、その中で特に成績のいい連中が集まるのが総合社会科学分科の国際関係論コースです。

そこの中から試験で勝ち抜いてきたのが、外務省のキャリア職員では多いわけです。しかし、そういう人物が幼児プレーが趣味だったりするんです。僕が見てきた中で、そういう比率がかなり高い。

この前、東京大学教養学部を退官された、山内昌之先生と話していて、先生ご自身は北大の出身なのですが、何か根源的な問題が東大教養学部の中の超エリート養成にはあるのではないかと言っていました。

偏差値の中で育てると、極端な歪みが出てしまうケースが多い。それが今の外交の体たらくにつながっていると思います。

井戸:すごく優秀な人たちなのに、どこかが欠落している。官僚を見ていると、私も大丈夫かなと思うときがあります。

佐藤:そこのところが、偏差値教育と関係していると思うのです。

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