佐藤優の教育論「偏差値を追うと人格が歪む」

『子どもの教養の育て方』特別編(その1)

学校以外の世界を体験させることも重要

井戸:もう1つ、偏差値教育の弊害というか、エリートで東大に入りましたというような人が、自分は人格も優れていると思い込んでしまうことがありますよね。そういう人はパワハラ(パワーハラスメント)なんかしても、本人は悪いと思っていないんです。

佐藤:人格が優れていることと、高等教育を受けていること、責任ある仕事に就いて、おカネも稼ぐことができるということ、これらは実はまったく関係していません。全部それぞれ別の概念だということを理解しておかないといけませんね。

井戸:対人関係でも、有名私立とか国立の一流校を出た人たちが、たとえばコミュニケーションが上手かといったらそうではなく、大丈夫かなと思う人たちもいっぱいいます。言葉が汚なかったり。国会議員でもそうです。立派な教育課程を経てきた人が、なぜそうなるのか不思議です。

佐藤:それは、その人が教育課程の中で、それ以外の社会を知ったり、ほかの教育とか、教養をつける機会がなかったからだと思います。

井戸:ということは、偏差値の高い私立中学に入れたとしても、「チームプレー」を学ばせたり、違う世界を経験させることは大事なのでしょうか。たとえば地域の野球チームに入れてみるとか。

佐藤:とても意味があると思います。スイミングスクールやサッカーでもいいでしょう。ただ、具体的にはスポーツばかりではなく、何かほかのことでもいいかもしれません。教会に通うことでもいいと思う。

井戸:学校以外の場でほかのチャンネルというか、触れ合えるものをということですね。

私の友人でも、子どもに熱心に受験勉強をさせているお母さんがいます。彼女が言うには、「やっと中学受験が終わったと思ったら、そこからまたもっとハードな毎日が待っているような状態になって、それが高校生まで切れずに行くというのはすごいことだと思った。これについていけるのは、どこかで感覚がマヒしているか、よっぽど勉強が好きか、我慢強いかというところがあるのでは」と。

その子はお母さんもしっかりしているので大丈夫だと思うのですが、そういう受験競争の中で育つべき部分が育たず、それが大人になったとき、どこかいびつな形で出るということはあるような気がします。

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