近づけるのが望ましいか、遠ざけるのが望ましいか?
つまり、多くの選挙区で首長派対反首長派という二項対立のような、わかりやすいかたちの選挙が行われることで、首長がすでに得ていた支持層を首長派(=首長の政党に所属する候補者)がそのまま取り込み、多数が当選できるのである。
首長と議会の選挙時期を近づけて両者が似たような対立構造を有することと、反対に選挙時期を遠ざけて必ずしも両者が似たような対立構造とならないようにすることの、どちらが望ましいかは自明でない。議院内閣制的な運用を目指すのであれば前者が望ましいし、両者のチェックアンドバランスを重視するのであれば、後者がよいように思える。
ただ、少なくとも首長の辞職によって選挙サイクルが頻繁に変わり、首長と議会の関係が不安定なものになることは望ましくないだろう。選挙サイクルをある程度固定化するしくみを早急に検討することが必要になると考えられる。もちろん、この選挙サイクルの問題が、地方自治体の二元代表の選挙だけではなく、国政選挙との関係に拡張して検討されるべきであるのは論をまたない。
選挙の時期を固定化すれば、今度はそれが政治的景気循環の問題を引き起こすこともありうる。また、政治的な安定といえば聞こえは良いが、状況の固定化が促進されることは否めない。そのようなデメリットも意識しつつ、選挙のタイミングをどのように扱うのかについて、議論が積み重ねられることが必要だろう。
【初出:2012.12.29-2013.1.5「週刊東洋経済(2013年大予測)」】
(担当者通信欄)
「政治的波乗り」と「政治的景気循環」、この2つによって、「解散権」を持つ首相が自らに有利な条件で選挙のタイミングを操れるのが国政。地方自治体の場合、首長は上手いタイミングで辞任することで再選を果たしやすくなり、さらに、首長選挙と地方議会選挙の時間的な間隔が、予定からずれるという複雑さが加わります。解散だ!もうすぐ選挙だ!という事実に、つい目がいってしまいますが、そのタイミングが持つ力の大きさに意識を向けることも重要なのですね。
さて、砂原庸介先生の「政治は嫌いと言う前に」連載第4回は2013年1月28日(月)発売の「週刊東洋経済(特集は、日立に学べ!)」に掲載です!
【育てるべきは政党 中選挙区制の罪深さ】
経団連の提言からも再び注目を集める中選挙区制、そんな中選挙区制がなぜダメな選挙制度なのかを考えます!
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