政治の世界のタイミング「選挙サイクル」の問題

解散はどう決める?「波乗り」と「政治的景気循環」

地方自治体の二つの選挙、選挙サイクルという問題

現職に有利な選挙時期の決定は、実は1950年ごろの地方自治体の首長選挙でしばしば観察されていた。現職の首長が、対立候補の準備不足を狙って不意打ち的に辞任し、選挙を行う事例が少なくなかったのだ。

これは大きな問題となり、1956年の公職選挙法改正で、辞職した首長は次の選挙に立候補できないという規制が追加された。ただこれはあまりに厳しいということで、1962年の法改正では、辞職後再選した首長は、再選後4年間でなく、辞職前の在職期間を含む4年間を任期として次の選挙が行われることになった。

このような規制が行われたが、それでも首長が辞めれば選挙は行われる。現行の制度でも、例えば後継者に有利なタイミングでの選挙実施を抑制することは難しい。

さらに、ある選挙のタイミングを自由に決定できるなら、他の選挙との時間的な関係が崩れる可能性は高い。二元代表制の地方自治体では、首長の辞任によって、首長選挙と地方議会選挙のタイミングが変わることになる。

一定の任期によって実施されるはずだった選挙サイクルが変化することで、選挙と選挙の間隔が離れたり近づいたりするのである。

政治学の経験的な国際比較の実証研究では、二元代表制(大統領制)において首長と議会の選挙が近い時期に実施されると、双方の選挙で似通った対立構造が構成されやすくなり、逆に時期が遠いとその傾向が薄れることが指摘されている。

より具体的には、強い権限を持つ首長選挙の対立構造が議会選挙を規定してしまい、議会における首長派対反首長派といった対立が強くなるおそれが生じるということだ。

最近の日本の地方議会選挙を想起すれば、直感的にも納得できる部分は多いだろう。名古屋では、河村たかし氏が、愛知県知事・名古屋市長・名古屋市議会リコールの「トリプル選挙」で圧倒的な支持を受け、リコール後の名古屋市議会選挙で減税日本が有権者から大きな支持を得た。

また大阪でも、府議会・市議会選挙、府知事・市長の「ダブル選挙」が、基本的に橋下徹氏の率いる大阪維新の会に対する賛否という対立軸によって争われた。

名古屋や大阪は、個性的な首長に率いられた特殊な例に見えるかもしれない。しかしこれは、比較的定数の少ない選挙区に分けられて実施される、府県・政令市の地方議会選挙が、時期的に近い首長選挙と強烈に連動する場合の典型的な結果とも考えられる。

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