安倍首相再登場から1ヵ月が過ぎたが、ひとまず好調なスタートである。だが、課題は7月の参院選と誰もが見ている。
第1次内閣は就任10ヵ月後の参院選で惨敗し、短命に終わったが、今度も7ヵ月後だ。「総選挙大敗の民主党はもはや復元力はない。自民党勝利は堅い」という声が強いが、「勝利」が過半数達成を指すなら、数字上は簡単ではない。
参議院の過半数は122で、自民党は現在83人、うち非改選は49である。4月の山口選挙区の補選で自民党が勝てば、非改選は50となる。その場合、自民党の「単独過半数」には7月の参院選で72議席が必要だが、自民党史上、最多当選だった1986年と同じ数字だ。
自民、公明両党による「与党で過半数」だと、補選勝利でも(非改選は公明9で、自公合計59となる)、両党で63が条件となる。自公の当選者数は、「小泉ブーム」の01年は78だったが、04年は60、第1次安倍内閣の07年は46、谷垣総裁の10年が60だ。64は手が届かない数字ではないが、それでも「小泉ブーム」のような追い風がなければむずかしい。
ところが、総選挙大勝で「与党で過半数」は当然と見る空気が広がり始めた。届かなければ敗北と見なされ、安倍首相は責任を問われかねない。総選挙大勝のため、参院選勝利と政権維持のハードルが上がるのは、安倍首相にとっては思いがけない誤算に違いない。
安倍内閣は参院選まで景気回復最優先で突っ走る構えだが、アベノミクスで結果を出せるかどうか、首相の指導力不足、政権運営の失敗、閣僚の不祥事などによる支持率低落という第1次内閣の二の舞いを避けられるかどうかがカギとなる。
再登板の安倍首相が5年の雌伏を経て「ニュー安倍」に脱皮を遂げていれば、支持率急落は起こらないだろう。だが、早くも「発言は強気だが、実際は調整型で妥協的」「好人物で正直だが、政略的発想が乏しく、守りに弱い」と評された「オールド安倍」の顔も見え始めた。
28日からの初の国会で「ニュー安倍」が試されるが、国民はそれを見て真贋を判断する気でいる。
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