勝負は最後まで何が起こるか分からないのだが、今回の参院選については、各世論調査の下馬評通り、与党側有利の結果が出るのではないかと筆者は予想している。
理由は野党側の戦い方がつたないからだ。民進党はアベノミクス批判で経済政策論争に踏み込んでいるが、これは有権者に民主党政権時代の経済政策と円高・デフレの状況を思い起こさせる下策である。そもそも、金融緩和を逆転させた場合に何が起こるかを考えてみたらいい。民進党が、安倍政権側が仕掛けた「アベノミクスが争点」にまんまと乗せられたのは失敗だったと筆者は思う。
本来なら、国民の関心が高い社会保障で良い対案を打ち出すべきだったと思うが、これも民主党政権時代に「年金」で何も出来なかった悪い記憶につながっている。
非常に気掛かりなイタリアの銀行不安
何はともあれ、安倍政権の支持率の最大の「資産」は、国民の民主党政権時代に対する悪い記憶なのだ。また、野党共闘を演出し一時は勢いに乗るかに見えた共産党が、幹部議員の失言で失速したことも野党側には痛い。
ただ、相場的には、与党勝利はセオリー的に株高材料なのだが、既に株価にはほぼ織り込み済みだろう。与党勝利でも「大幅高!」とまでは行かないのではないか。
一方、海外には不気味な材料が出て来た。『朝日新聞』(7月6日、朝刊)の記事によると、「不良債権を大量に抱えるイタリアの銀行が資本不足に陥るのではないかとの懸念が高まっている」(第9面、「伊の銀行不安視 政府救済策を検討か」)という。これは、潜在的に英国のEU離脱以上に心配な問題だ。イタリアに限らず、欧州の銀行が経営不安に陥る可能性が十分あるが、不安が現実化し対応を誤ると、それこそ「リーマンショック級」だ。
投資家はまだまだ欧州に注意が必要だ。
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