嘘だらけ「マイナス金利報道」のここがヘン 実は、財政再建は完了へと向かっている
相変わらず、日銀の「マイナス金利政策」の評判が悪い。つい先日も、「三菱東京UFJ銀行が国債入札参加資格である「国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)」を返上する方針である」といったニュースが流れ、これに対して、“マイナス金利の弊害”だとする論調が大勢を占めた。
いわく、「マイナス金利で国債を保有するメリットがなくなり、他の金融機関が追随する可能性もあるため、国債の発行や消化に影響は出てくる」といったものだ。「これで国債暴落と日本の財政破綻の可能性が高まった」という解説も聞かれる。
しかし、この報道の件は、まったくのデタラメである。なぜなら、特別参加者でなくても国債の入札は可能だし、また入札参加者は246社もあるので国債の消化に問題などないからだ。このニュースのウラ側には、マイナス金利によって収益を減らされる銀行の精一杯の抵抗が透けて見える。
このように、マイナス金利政策については、メディアを通じてさまざまな“ウソ”が流布されている状態だ。特に、運用難に陥っている金融業界に属するエコノミストたちによるウソがひどい。以下、見過ごせない俗論について、正しい解説を加えておこう。
「マイナス金利で年金が破たんする」のウソ
マイナス金利の弊害を、年金と絡めて論じる向きもある。「国債の利回りが低下するので、年金の積立金の運用利回りも低下する」というものだ。年金積立金管理運用独立行政法人(通称:GPIF)が運用している公的年金についてである。
まず、国債の利回りが低下するということは、国債の価格の上昇を意味している。国債の価値は高まっているのだ。したがって、国債で運用していれば、年金でも金融機関でも、マイナス金利によって利益(売却していなければ含み益)が発生している。
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