森田さんが参考にしたのは、「ストックフォトビジネス」と言われるビジネスモデルだ。プロのカメラマンが撮影した写真や、アーティストが制作したグラフィックなどを、有料でダウンロードできるサービスを提供する。いわば、クリエーターと顧客を橋渡しするビジネスで、クリエーター側には、ダウンロードされた分の使用料が支払われる。
代表的な会社には、シャッターストック社やフォトリア社がある。2012年には、世界最大級のプライベートエクイティファームであるKKR社が、フォトリア社に1億5000万ドル(約135億円)もの資金を投資したこともあり、この分野自体が今、投資家の注目を集めている。
オリガミ社は、日本のアーティストと契約し、画像やアニメーションをアップ。クライアントは、所定の利用料金を支払えば、そこから好きなコンテンツをダウンロードできる仕組み。アーティストには、同社からロイヤルティが支払われる。
2012年1月。まずは「New Venture Challenge」の受講資格があるかどうかの書類審査が始まった。競争率3倍の人気授業だ。2月に結果が出た。審査員の採点リポートもついている。
「書類選考は、2人の審査員が評価します。僕たちのチームの審査員は、1人は投資家、もう1人は、スタートアップ専門の弁護士でした。投資家は、5点満点中4点、弁護士は、2点をつけていました。10人投資家がいて、10人がよいというアイデアはありえませんが、審査員2人の評価が大きく違っていたのに驚きました」
結果は見事、合格。3月にスティーブン・カプラン教授と合格チームとの個別面談があった。
「書類審査には通ったが、現段階では、君たちのチームが30チーム中、最下位だ。期待していたのに、がっかりしたよ」
面談が終わった帰り道、いちばん落ち込んでいたのは、ブラジル人のチームメートだった。彼は、ベンチャーキャピタル出身。カプラン教授に憧れて、シカゴ・ブースに入学したほどだ。
「友人は『シカゴに来てから、いろいろな教授と面談をしたけれど、今回がいちばんショックだったよ』とぽつりと言って、落ち込んでいましたね。僕は、逆に最下位だから捨てるものは何もない、とここから奮起しましたね」
投資家の前では“負け犬”になるな
2012年3月、スティーブン・カプラン教授の授業が始まった。
授業は、チームごとのプレゼンテーションのみで構成されている。毎回、各チームは、専門家の前でプレゼンし、厳しいフィードバックを受ける。その他の時間は、カプラン教授やメンターにアドバイスをもらいながら、事業計画を練っていく。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら