この授業を受けるには、まず、予選がある。ビジネスコンペティションのアイデアを提出して、書類審査を通過しなくてはならない。100チームが挑んで、30チームしか選抜されない難関だ。
ビジネススクールの授業ではあるが、シカゴ・ブースの在校生が1人でもいればコンペに参加できるため、「シカゴ地域で最大のビジネスコンペ」と言われている。
医療、ハイテク、金融、法律など、さまざまな専門分野を持つシカゴ・ブースの学生をはじめ、大企業の社員、ベンチャー起業家など、ビジネスプランを作るプロも多く参加している。
予選は、2012年1月。ビジネスプラン作成は、ビジネスコンペに何度も出場経験のある森田さんがリードすることになった。
ここで、森田さんは大きく方向転換することを決める。自分の専門である「宇宙」で挑むことをやめたのだ。
「予選を通過するためには、現状では、宇宙ではダメだと思いました。より具体的で、わかりやすく、投資家が興味を持つ別のプランを考えなくてはいけないと、必死でプランを練りました」
君たちのビジネスプランが、“最下位”だよ
ビジネスプランを考えるうえで、森田さんがこだわったのは、「日本らしさ」と「自分らしさ」だ。
経済産業省出身の森田さんにとって、コンペは、アメリカの投資家が今、日本のどんなビジネスに投資したいと思っているのか、実地で調査する絶好の機会でもあった。
「『自分にしかできないこと』『日本のためになること』『市場の需要』などを考える中で、コンテンツを軸に勝負しようというアイデアが出てきました。
僕はもともとモダンアートが好きなのですが、すばらしいアーティストやクリエーターが世の中に出てきても、日本市場だけでは経済的に持続することが難しく、その道を諦めた人をたくさん見てきました。この状況を変えるようなビジネスを作りたい、と思ったのです」
日本のグラフィックアーティストと、アメリカのオンラインゲーム会社などを結びつけるビジネスで、勝負することに決めた。社名は、Origami, Inc (オリガミ社)と名付けた。日本らしさを演出するために、あえてわかりやすい社名にしたという。
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