進路指導教諭が選ぶ「教育力の高い大学」100 東大、京大、東北大など難関国立大が上位に

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2位の京都大に最高ポイントを与えた学校は、21校と東大の5分の1程度だった。東京大と双璧をなす大学ながら、両校の比較では京都大を2番手と考える教諭が多い。それでも同大の評価が高いことに変わりはなく、「探求好きな学生が多そう」(北海道・公立高)、「自由であり、学部生から専門分野を深く学べる」(大阪・私立高)、「研究指導がきちんとしている」(愛媛・公立高)などの意見があった。

3位の東北大に最高ポイントを付けた学校は、京都大を上回る29校で、評価した高校は日本全国にまたがる。埼玉の公立校の教諭は、「入学時の偏差値以上に、社会への貢献度が高い学生を輩出している」とする。同大は、難関国立大の中ではAO入試の定員が多く、さらに学生を厳しく指導するゼミに定評がある。能力や意欲、目的意識を総合的に判定するAO入試が機能し、そうした伸び代のある学生をゼミで育てるというサイクルが高評価の一因のようだ。

タイムズ・ハイアー・エデュケーションのアジア大学ランキング2016年版で、東京大は3年連続の1位から7位に下がった。とはいえ、国内だけに限れば高校教諭の評価はなお高い。ちなみに、アジア大学ランキング中の日本の大学に限った順位は、1位東京大、2位京都大、3位東北大と、教育力ランキングの上位3校と重なる。

グローバル対応に積極的な大学も

国際教養学部のみの単科大学である4位の国際教養大は、規模や研究力の面で不利であり、アジア大学ランキングの上位に入らない。しかし、同ランキング中で日本の大学が苦戦する国際性の面では、秋田の公立高の教諭が「オールイングリッシュの授業が評価できる」とするように、グローバル人材養成に対する期待感は高く、北海道から九州まで28校が最高ポイントを与えた。7位の国際基督教大もグローバル教育が高く評価されているが、「志を高く持ち、妥協を許さない教育を行っている」(千葉・公立高)といった、教育方針を評価する声もあった。

国際教養大と国際基督教大を含め、教育力ランキング上位は、日本の大学及び社会のグローバル化の牽引を託されたスーパーグローバル大学(SGU)が大半を占める。5位の大阪大もその1つ。緒方洪庵が開き、日本全国から集まった若者が切磋琢磨した「適塾」を原点とする同大は、そのフィールドを世界に広げ、グローバル社会で活躍できる人材を輩出する「世界適塾」を目指す。その実現に向け、来春からグローバルリーダーの素養を持った学生を選抜する「世界適塾入試」を導入する。この改革が大阪大の国際化を進めるのか、注目される。

私立大で最上位となる6位の東京理科大は、「単位修得が難しい」(東京・私立高)との声が挙げられている。指定科目に合格しないと進級できない「関門制度」など、実力主義のもと伝統的に学生を厳しく育てることを評価する学校が多く、教育力が高い大学として、14校が最高ポイントを与えている。

私立大最難関の早慶は、9位の東京工業大を間に挟んで、8位が慶應義塾大で10位が早稲田大となった。早慶に最高ポイントを与えたのは大半が関東の学校。地元志向の高まりもあり、地方の進路指導教諭の注目度がそれほど高くないことがうかがえる。こうした意識は、近年、早慶の一般入試の合格者に占める1都3県の学校の出身者比率割が高まり続け、今春は両校とも7割を超えるという結果にも現れている。

もちろん、早慶の教育力を高く評価する声は多く、慶應義塾大に関しては、「卒業生の平均的レベルが高い」(東京・私立高)、「授業、教授、学生の質」(茨城・私立高)。早稲田大に関しては、「個の力をつけてくれる」(東京・都立高)、「卒業生を見ていると、大学でしっかり勉強していると感じる」(東京・私立高)などの意見が寄せられた。

ベスト10以外の大学も、優秀な教授陣、カリキュラム、教育環境などの面で高い評価を得ている大学が多い。今後これらの大学の教育力は、高大接続改革を経てどのように変わっていくかが注目される。

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