夏野剛(下)「敵がいないヤツは何も決められない」 株主は企業経営者を甘やかしすぎだ

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――夏野さんのモットーは何でしょう?

僕はね。おかしいと思うことを直したいんですよ。おかしいと思うことは世の中にたくさんある。たとえば、この企業はこういうサービスをやったらいいのにとか、この商品はもっとこうなっていたらいいのにとか。一つずつ実現するということをやってきただけなんですね。

本来、ニコニコって企業に活用されるべきだよね、とか。これだけのプラットフォームなんだから。iモードだって、携帯電話ですべて収まるようにしたいとよねと。そうすればお客様にものすごい価値がある。それを自分でやろうとしたワケです。でもそれを選んでやっているんじゃないんですよ。

先輩の言うことを丸呑みするな

――20~30代の若い人たちに伝えたいメッセージは?

僕は大学の授業とかでいつも、「とにかく先輩の言うことを丸呑みするな」と言っています。なぜかというと常識が激変している。10年前の常識はまったく役に立たない。20年間の経験なんていうのは一瞬にして覆る。すべて自分の頭で考えて、自分の糧にする。それしかない。先輩のアドバイスや説教は、失礼に当たるので聞いたふりをする。でも一切聞くな。聞く必要はない。自分で考えて正しいと思ったことをやればいい。

――今までの常識は通用しないと。もっと世の中は変わってきますか?

わからない。でも一つだけ言えるのは、人類そのもののスピードが加速しているという事実があることです。文明の進化がどうして成り立ってきたかを考えると、個人が何かを発見することがきっかけになるんです。このキノコを食べたら死ぬとか、おいしいとか。ニュートンは林檎が落ちるのを見て重力に気づきました。こういう1人1人の気づきがシェアされ、共有され蓄積、世代を超えて伝承・伝達されて文明が進化してきた。

でもこれまで実は、個人のファインディングス(発見)がシェア(共有)されることにものすごい壁があった。キノコを食べて何十万人と死んでいるかもしれない。ところが今はTwitterで一瞬にして広まる。今までだと、たまたま大きなマスコミで目をつけた記者がいると世の中に大きく広まりましたが、大きなマスコミでないと、小さくしか火がつかなかった。今は関係ない。マスコミのあり方も変わってきている。

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