夏野剛(下)「敵がいないヤツは何も決められない」

株主は企業経営者を甘やかしすぎだ

――メディアなどがネットでオカネを取るのは難しく、苦労している企業は少なくありません。

価値をキチンと提供することです。フォーマットは関係ない。同じ人間を相手にしている。ビジネスモデルがつくれないなら、ネットの専門家を採ればいい。なぜ、内部の人材だけで中の人だけでやろうとするのか。やったことがない人が急に思いつくワケがない。必要なスキルを外から導入する。中の人だけでやったらダメ。

ドワンゴに僕が参加したのも、経験とか勘所とかスキルとして役立つというふうに評価されたから。ほかの会社でも社外取締役を複数やっていますが、みんなそれなりに僕のスキルが必要だと評価してもらっているワケです。それは中にはないワケだから。

日本企業は「(中で)育てる」とか言うんですけどね。今の世の中で育てる余裕はないですよ。外からスキルを持っている人を採ってくればいい。しかもそれはフルタイムじゃなくてもいいワケです。外注だっていいワケです。

ユーザーに価値を提供すれば社会はよくなる

――夏野さんはニコニコを通じて、何かを目指しているんでしょうか。

ニコニコを通じて目指していることはないですよ。企業経営において大事なのは自分の手がけているものが、買い手にとって価値のあるカタチに仕上げて、それがビジネスモデルとして回るかが大事で、その先に社会的なミッション・・・なんて別にないですよ。

そんなことを言っているのは単に飾りでしか言ってませんよ。これを通じて世の中をよくする、どうよくするか説明しろと言っても、ほとんどの経営者は説明できませんよ。でも、ユーザーに対して価値のあるサービスをつくる、これは実際には社会をよくすることになるんです。それを望むユーザーに価値を提供するんですから。

ニコニコはクリエーターがどんどん出てくるプラットフォームになったワケです。これは社会的に意義がある。でもそれは成してから観察されて分かることであって。そこがビジネスとしてやることと、補助金とかもらって政策としてやることの違い。政策というのはまず社会的なミッションは何かというのを立てて、そのために税金をかけてどれだけのおカネを投入するというのを決めるワケですね。だからどういうカタチ、どういう社会にしたい、だからこれをやるんだというのを組み立てていかないといけない。

でも、企業経営は必ずしもそうじゃないですからね。顧客価値をつくってキチンと回す。その結果としてこういうことが起きる。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。