夏野剛(上)「オタクが100人のエリートに勝つ」 IT・ネットが変えた個人と組織の関係

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対して、日本は外国人労働者の受け入れには否定的で、すべて単一民族でやろうとする。均一性を重視する。これではクリエイティビティが生まれない。均一にしようということは種としては弱くなる。環境変化に耐えきれない。環境変化があったときに全滅する可能性が高まります。

大手電機メーカーの人と話していると、自分たちの会社の中の都合にすごく気を遣っているように感じます。たとえばある製品について、会社名のロゴがなくてもいい場所に入っていたりする。それについて、僕が「このロゴ、見えないほうがいいんじゃない?」と指摘すると「それは困る」と返ってくる。目的は売ることにあって、社名を知らしめることじゃないのに。何が目標なのかも崩れてしまう。組織防衛がいちばん大事になります。

――内向きになる。

最低です。

個人が組織に規定されなくなった

――今までの組織は誰がリーダーでも同じだったワケですか。

同じようにつくろうとした。それがもう間違い。強い組織をつくろうとしたら、100人の優秀な人を平均的に訓練するより、1人のオタクを採ってきたほうが、パフォーマンスがよかったりする。鉄道会社で100人の人間を新入社員で採って別に好きでもないのに、鉄道の仕事を覚えさせるより、もともと鉄道オタクを1人採ってきたほうが、効果的だったりする。

本人はそれが好きで好きでしょうがなく、知識もあり、しかも関心がある。いろんなクリエイティブなことを考えるワケです。1人のオタクが100人のエリートサラリーマンに勝ってしまう時代になった。個人であっても、莫大な情報収集能力と情報発信能力を得て。

昔は、人の個性よりもどこの組織に属しているかで、その人の得意分野とか、情報収集能力を規定してしまっていた。たとえば、生命保険会社に勤めている時点で生命保険のことは詳しいけども、全然違うことは素人なはずだと。属している組織でその人を見るというのが、日本の高度成長期に形作られた仕組みなんです。

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