公取が"注意"したキヤノン「灰色買収」の全容 東芝メディ買収に暗雲、富士フイルムは憤慨

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キヤノンが買収する東芝メディカルシステムズのCT(コンピュータ断層撮影)機器。東芝の債務超過回避のためにつくられたように見える今回の買収スキームに対し、公取が「注意」をした(撮影:尾形文繁)

「グレーだがクロではない。ただし同じことをする会社が今後現れたら『クロである』と考える」――。6月30日、公正取引委員会が、経団連会長輩出会社キヤノンに対して、「異例」ともいえる「注意」を行った。

制度の趣旨を逸脱し、規定違反のおそれがある

キヤノンは、東芝の医療器機子会社・東芝メディカルシステムズ(TMSC)の買収を3月に発表。買収スキームは、SPC(特別目的会社)や種類株・新株予約権を用いた複雑なものだった。

その買収スキームに対し公取は、独占禁止法が定める「事前届出制度の趣旨を逸脱し、独禁法第10条2項の規定に違反する行為につながるおそれがある」と、キヤノンに文書で注意をした。

これを受けて、キヤノンは公式コメントを即日公表。「(公取の注意を)真摯に受け止め、今後とも法令を遵守し、透明性の高い経営に取り組む」と簡潔に述べた。

文書による注意で済んだということは「軽い」ことに見えるかもしれないが、公取が注意をするのも、注意したことを公表するのも、今回のケースが初めて。グレーだがクロ認定ではないので、罰金刑などの刑罰は科されない。なお、複雑なスキームの実行に関与した東芝にも、公取は「事前届出制度の趣旨を逸脱するような行為に関与しないように」口頭で注意したという。

キヤノンによるTMSC買収そのものについては、「競争を実質的に制限することにはならないので排除措置命令を行わない」として、同日、審査終了を宣言している。

いったい、何が問題になったのだろうか。

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