公取が"注意"したキヤノン「灰色買収」の全容 東芝メディ買収に暗雲、富士フイルムは憤慨
それは、キヤノンとTMSCの明確な結合関係(すなわち親子関係)が認定できなかったこと、今回は初のケースであり、明確なルールがなかったことの2点を、公正取引委員会の品川武・企業結合課長は挙げている。
今後同様のスキームが出たらクロだと明言したのは、「すでにキヤノンと同様のことがしたい、という問い合わせが企業からあるからだ」とも述べた。
ライバル・富士フイルムは口惜しさひとしお
TMSCの入札で残り、最後はキヤノンに敗れた富士フイルムホールディングスも、以下のコメントを即日発表した。
「この買収にフェアな姿勢で臨んだ我々にとって、アンフェアな競争であった。これが許されるなら、競争法が形骸化する。(中略)これが悪しき前例となり、日本国内で競争法の手続きを無視した、海外企業を含む企業買収が行われることが懸念される。このようなスキームを、今後は認めないが今回は認めるということであれば、なぜ今回は認めるのか明確に説明されることを望む」
富士フイルムの古森重隆CEOは、かつて東洋経済の取材に対して、「クリアランスが通らず、東芝とキヤノンのディールがなくなったとき、富士フイルムが買いに出る選択肢はあるのか」との問いに「それはウエルカムだ」と明言していた。それだけに、今回のグレー判定に口惜しさはひとしおだ。
ただ、今回の公取の判定が最終判断というわけでもない。今回は「密約が認められなかったとはいえ、今後証拠が出てくればクロに覆る」と品川氏は説明する。しかも、他の国での審査はこれから。海外の判断次第では、まだキヤノンは「一安心」とはいかないのである。
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