公取が"注意"したキヤノン「灰色買収」の全容

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独立性とは、TMSCの親会社であるMSHが、他社の指図を受けずにTMSCの役員を代えたり、TMSCを他社と合併させたりすることができるということだ。

これらの重要な判断に、キヤノンが口をはさめる状況にあるならば、MSHには独立性がないということになる。口をはさめる状況にあるかどうかの判断は、文書などの証拠がなくても、口約束による密約、金銭の貸借関係が認められれば、成立しうるという。

申請の取り下げ・再申請を繰り返したキヤノン

4月に開催された「2016国際医用画像総合展」でのキヤノングループのブース(撮影:尾形文繁)

キヤノンは、上記の理由とは別に、最終的には新株予約権を発動してTMSCを完全子会社化するつもりなので、4月中旬に、公取に申請していた。

30日の審査期限が来るたびに、5月中旬、6月中旬と「クリア&リファイル(申請の取り下げ・再申請)」を繰り返し、今回の審査終了となった。

クリア&リファイルは、審査を長引かせないために一般的に取られる手段である。1次審査の期限が過ぎると、自動的に2次審査に移行する。すると、追加で提出する資料が増えるほか、パブリックコメントを取ることになり、結果として審査期間が長くなる。それを回避するために、1次審査の状態でとどまろうとするのがクリア&リファイルだ。

公取がグレーだと指摘したのは、要するに最終的にはキヤノンが買収するつもりなのに、途中にSPCを挟んで申請義務を一時的に回避した点だ。

一方で今回、クロだとしなかったのはなぜか。

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