東芝が手放す「虎の子」が高騰、その真の実力 海外勢は東芝メディカルをどう見るのか
高値売却のメドが立ち、経営幹部もほっとしていることだろう。東芝は3月9日、100%子会社の東芝メディカルシステムズ(東芝メディカル)の売却に関して、独占交渉権をキヤノンに与えることを発表した。
東芝は赤字事業のリストラ費用がかさみ、今期末にも株主資本比率が2.6%まで悪化する見通し。債務超過が目前に迫る中、毀損した株主資本を増強するため、2015年12月、泣く泣く売却を決めていた。
東芝メディカルの2015年3月期業績は、売上高2799億円、営業利益は177億円、利益率は6%台と高く、ここ数年100億円以上の利益を安定的に稼ぐ優良子会社だ。
売却額は高騰、7000億円程度に
高値での売却を最優先としつつ、さらなる業績の下振れや追加のリストラ費用を考慮し、今年度中の売却を目指していた。そのため、独占禁止法に抵触するおそれがないなど、手続きが早く終わる企業を優先した。
独占交渉権は3月18日を期限としており、それまでに締結を目指す。売却額については明らかにしていないが、当初5000億円程度とみられていた額は、7000億円まで高騰しているようだ。
売却により、東芝の株主資本比率は、今期末に2.6%の見通しから10%前後に上昇する。経営危機の水準を脱したとはいえ、一般に安定的と言われる30%以上にはほど遠い。赤字が続けば悪化も考えられる。さらなる事業売却も視野に入れなければならないだろう。
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