崖っぷちの東芝、目前に迫る「債務超過転落」

NAND価格に不安、銀行頼みで綱渡り

またしても大幅下方修正で冒頭から陳謝した室町正志社長(撮影:今井康一)

「公表から一カ月あまりで大きな修正となりましたことについて深くお詫び申し上げます」。2月4日の会見の冒頭で、東芝の室町正志社長は陳謝した。

下方修正により、2016年3月期は売上高6兆2000億円(前期比6.8%減)、純損失は過去最大となる7100億円に沈む見通しだ。これにより今期末には自己資本はわずか1500億円、自己資本比率は2.6%に落ち込む。債務超過転落目前の崖っぷち。かつて製造業で過去最大の赤字を出した日立製作所が、倒産の危機と言われた当時(2009年3月期)の自己資本比率は11.2%だった。

第3四半期(4~12月)までの決算は、売上高4兆4216億円(前年同期比6.4%減)、営業利益は前年同期の2017億円の黒字から一転、2295億円の赤字に沈んだ。一連の不適切会計で収益が悪化した部門の構造改革の中身が整ったことで、2015年12月下旬に、2016年3月期の通期業績予想を5500億円の最終赤字を示していた。それからわずか1カ月での修正となった。

修正の主な要因は、電力・社会インフラ部門の中で、市況が悪化している送配電・配電事業で減損を実施したことや、半導体事業で販売の実現性が低くなった在庫の処分や評価減を行ったためだ。加えて、1月末の株価の下落など伴う年金運用の悪化を踏まえて、負債調整を織り込み、自己資本が縮んだ。

吹けば飛ぶような資本になお不安材料

室町社長は「来年度からのV字回復を図るため、今年度にウミを出し切る」と強調した。また、主力銀行との金融支援についての折衝で、「何としてでもウミを出し切って欲しい」と強い要求があったこと、さらに、融資条件になっているわけではないが、「自己資本はマイナスになっては困る、純資産がマイナスになったらとんでもない」と苦言を呈されたことを打ち明けた。異例の発言はみずほ銀行や三井住友銀行による支援体制を印象づけたかったのだと思われる。

債務超過にならないギリギリの水準を予想数字として示したものの、1500億円の自己資本は東芝の規模では吹けば飛ぶような水準。収益柱のNANDフラッシュメモリは売価が徐々に下落してきており、さらなる悪化も考えられる。急激な円安進行が起きれば、海外生産が約8割の家電事業は大打撃だ。さらなる株価の急落などがあれば年金負債調整額も膨らむ。市場動向次第では下振れの可能性は十分ある。

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