崖っぷちの東芝、目前に迫る「債務超過転落」 NAND価格に不安、銀行頼みで綱渡り

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「ウミを出し切ってV字回復を図る」という室町社長だが綱渡りが続く(撮影:今井康一)

現状、「エクイティーファイナンス(新株発行を伴う資金調達)は、出来ないことはないが、株価が低く、特設注意市場銘柄にいるので難しい」(平田政善最高財務責任者)。事業に滞りなく投資し、収益を確保していくためにも金融機関からの支援は必要不可欠なのだ。

メディカル売却でしのぐが、資本は綱渡り

銀行頼みとはいえ、東芝自身でも財務立て直しをする。現在、100%子会社の東芝メディカルシステムズの売却を進めており、今期中にも完了する見通しだ。売却額は4000~5000億円ではないかという憶測が広がっていたが、「報道のレンジよりは少し高め」(室町社長)と言い、高値での売却が期待されている。加えて、赤字が続く家電とPCは、2月末までには売却、統合などの方向性を示す。

売却益が入ってきても、東芝が潜在的に抱えるリスクは大きい。今年1月に行われた米原子力子会社ウエスチングハウスののれん(約3441億円)の減損テストはクリアした。だが、来期には監査法人の変更もあり、いつ減損を迫られるかは分からない。そのためにも、自己資本の増強は欠かせない。特別注意市場銘柄の指定が解消されるのは9月15日以降。その後は、増資も視野に入るだろう。

12月末の発表からわずか1カ月で、債務超過が目の前まで迫ってきている。たとえ、今期を乗り切ったとしても、東芝が柱とする原発は減損リスクを抱え、半導体は浮き沈みが激しいのが特性だ。東芝の綱渡り経営が続く。
 

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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