空港を見れば、その国の実力が如実にわかる 市民のセンスの根源は社会システムにある

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ウエルカムな姿勢だけでなく、現実的な機能として実行をする必要があります。高城 剛のメルマガ、高城未来研究所「Future Report」からお届けします(写真 :monjiro / PIXTA)

今週はシドニーにいます。空港を見れば、その国がわかる、と僕はよくお話ししますが、観光客でもビジネスマンでも、ウエルカムな姿勢を言葉ではなく、現実的な機能として実行している空の玄関口を持つ都市は、必ず繁栄が見込めます。なにしろ、利便性よく入国できるわけですから、人もお金も集まりやすいことを意味し、シドニーは、そんな空港のひとつだと思います。

まず、オーストラリアに入国するためには、事前にオンラインでビザの取得をしなければなりません。

これは有料サービスですが、飛行機に搭乗する数時間前なら、空港でスマートフォンからの申し込みも可能で、あとはシドニーについたらスキャナーにパスポートを入れ、ゲートで自動的に写真撮影が行われるだけで、入国審査は完了です。

表層的なデザインだけ磨いても意味はない

当記事はプレタポルテ(運営:夜間飛行)の提供記事です

これは、世界中すべての人が可能なわけではなく、オーストラリアの友好国で、事前にオンライン上でスクリーニングが終わっているから、無人かつ簡易な手続きだけで済むのでしょうが、逆に同条件のはずのオーストラリア人が、成田空港に降り立ったあとのことを考えると、その差は歴然です。

下手をすれば、数時間の大行列に並んで、その間スマートフォンにも触れなければ、トイレに行くことさえ困難な現実が待っています。

その上、このような成田空港の事実を書くと、頻繁に成田空港の広報から僕にクレームが来るのですが、それは、顧客満足度をあげるために改善をしようという前に、問題を「なかったこと」にすることが先決な、悪しき組織だという証でもあります。

どんなに空港の表層的なデザイン(ハードウエア)を施しても、組織(ソフトウエア)が旧態依然としていたら、結果的に顧客は満足しないものです。特にサービスという概念を、職員に徹底教育するのが、成田空港の務めだと思います。広報も含め。

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