また社内では、複数商品を一気に出すことによる翌年の売り上げ反動減を懸念する声も上がったが、開発チームで押し切った。「一度成功したら、止まらずにもっと上を目指さなければならない。そうやって自分たちを追い込む、タフなチームなんです」。現に、B.Aは一度も前年の実績を割ることなく、成長し続けている。
勝因の1つは、内外に向けた商品コンセプトを綿密に作り込んだことだ。こだわって用いたキーワードは、“ビッグバン”。
「お客様には、まるで新たなギャラクシーが生まれ出てくるような、肌の新生感を感じていただきたい。
それだけでなくて、商品を売る側である百貨店の美容部員や訪販のポーラレディには、この商品でビッグバンを起こすんだ!と意気込んでほしい。そんな思いがこもっています」
チーム総出で多くの現場に足を運んでは、新商品のコンセプトやスペックについて全国の販売員に丁寧に語りかけたという。
「寝言もいい加減にしろ」と言われても、引かない
王道中の王道とも言えるスキンケアブランドB.Aだが、これまで市場に出回っていない新ジャンルの商品にも挑戦する。砂金氏がマネージャーに就任した後の11年10月、肌に入れ込む泡状マスク「B.A ザ マスク」を発売した。
普通マスクといえば、シート状や泡状のものを30分程度、顔に貼り付け、その後は剥がすか洗い流すかするもの。「でも、剥がしたシートもまだけっこうぬれているし、もったいないと思いませんか? それなら剥がさないで、全部(肌に)入れちゃえばいいんじゃないかと、はたと気づいたんです」。
思いついたはいいが、大変なのはその先だった。実際に商品化を目指す過程では、「研究員には『寝言もいい加減にしろ』と言われたこともありました。でも、こっちも『うんと言うまで帰らない』と粘りました(笑)」。
侃々諤々(かんかんがくがく)の議論の末に完成した「B.A ザ マスク」は、主要3大美容雑誌のベストコスメ賞のマスク部門を総ナメにする大ヒットを記録。後追いで多くのメーカーが「肌に入れ込むマスク」を投入している。
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