マツキヨが高額PBで攻めるワケ 流行を追わず、顧客ニーズを追求
千葉県新松戸駅前のドラッグストア「マツモトキヨシ」。入り口近くの棚に大きく並べられているのが、シャンプー・リンスの「アルジェラン」だ。価格は1本1580円。売れ筋の花王「エッセンシャル」の2倍以上と高額だ。どのメーカーの商品だろう?――とシックな紫色のボトルを裏返してみると、小さく「MKカスタマー」の文字。実はこれ、国内ドラッグストア最大手であるマツキヨのプライベートブランド(PB)なのだ。
PBとは、大手小売り企業が企画して独自のブランド名で展開する商品群。小売り企業と製造を委託されるメーカーが共同開発することで、商品流通のコストや広告宣伝費などを抑え、安い価格で商品を提供できる。質素な統一デザインで、品質はメーカー品のナショナルブランド(NB)に比べてやや劣る――。マツキヨはそんなPBの定石とは一線を画している。
現在マツキヨが取り扱うPBは約2100品目、売り上げ規模は約400億円に及ぶ。マツキヨにも低価格で訴求するPB商品はあるが、他社との大きな違いはNBに劣らぬ高付加価値品をラインナップしている点だ。PBであることを示すMKカスタマーのロゴは、商品の裏側に小さく記してあるだけ。価格もNBと同程度か、むしろ高いくらいである。
「客に勧められる商品がない」
高付加価値型のPBという珍しい商品展開の背景には、「既存品だけでは顧客の要望に応えきれない」という店員の悩みがあった。通販化粧品には含まれる成分が、大手の製品にはない。客から相談を受けても勧められる商品がない――。そこで、自社規格の独自製品が生まれた。
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