キッコーマン「生しょうゆ」、3つの革命 1500社がひしめく激戦区でスマッシュヒット

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また、日常に根ざした定番調味料ゆえの悩みもある。しょうゆを注ぐ際、瓶をどちらに傾けて注ぐか、何度傾けて注ぐか、といったことは、消費者は意識していないことが多い。そのため、消費者が普段どのようにしょうゆを使っているかについて質問しても、明確な答えが返ってこないのだ。

「お客様に『何が欲しいですか』と聞いても、答えは返ってこない。『こういうものがあったら、使いやすいと思いますか』と、先回りして提案する必要がある」と茂木氏は語る。そこで、家庭でしょうゆが使われるシーンを徹底的に観察した。

「小さい子どもはしょうゆをこぼすことがあるから、手の届くところには置けない」「手元のコントロールが利きにくい高齢者は、しょうゆをかけ過ぎてしまうことがある」――。家庭でしょうゆが使われるシーンを観察して、しょうゆを使いながらひやひやしている場面がないかを調べることから、「いつでも新鮮」シリーズの商品開発は始まった。

老若男女を問わず使える

一般家庭でのモニタリングを何回も繰り返し、主婦だけでなく子どもや高齢者の意見も取り入れる。子どもと大人、高齢者ではボトルを押す力の加減も違う。どのような押し方でも、欲しい分のしょうゆが出せるよう、ボトルの改良を繰り返した。

「しょうゆは家庭の味のベース。その家庭で代々受け継がれていくもので、ブランドスイッチが起こりにくい」と、しょうゆ・みりんグループ担当マネージャーの田嶋康正氏は言う。「ただ、単身者が増えるなど世帯構成が変わっていく中、今後は昔よりもブランドスイッチが起こりやすくなるかもしれない」との危機感もある。潜在的なニーズを掘り起こすことで、「キッコーマンブランドのプレゼンスを高めたい」(田嶋氏)。

キッコーマンの起こした3つの革命が、定番調味料の市場を静かに変えつつある。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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