「金の食パン」で起きたパラダイムシフト 発売4カ月で1500万個。大ヒットがもたらした業界の変化

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高価格帯ながら爆発的なヒットを飛ばした「金の食パン」

「われわれが足元にも及ばない、山崎製パンさんが真似をされた」

セブン-イレブン・ジャパンが9月下旬に開いた秋期商品展示会の記者会見で、同社の鎌田靖商品本部長は誇らしげにこう語った。そして、プレゼンテーションのスライドには、セブン&アイ・ホールディングスのPB(プライベートブランド)「金の食パン」と、山崎製パンが9月3日に発売したNB(ナショナルブランド)の高級食パン「ユアクイーンゴールド」が並んで映し出された。

「金の食パン」、「ユアクイーンゴールド」とも、厚切りの食パン2枚入りで125円(「金の食パン」は6枚入り250円の商品も販売)。上質の小麦粉を使い、パン生地を一つ一つ手で丸めて焼き型に入れるなど、原料や製法に対するこだわりが特徴だ。さらに、金色のパッケージで高級感を出す手法など”共通点”が多い。

今年4月に発売した「金の食パン」は、発売から4カ月で販売個数1500万個を突破。瞬く間に「セブンゴールド」と称するPBの中でも屈指のヒット商品となった。開発を担当した商品本部FF・デイリー部の中村功二チーフ・マーチャンダイザーは「金の食パン」について、「食パンを取り巻く環境変化の中で生まれた」と話す。東日本大震災に伴う買いだめ特需がなくなった2012年以降、食品の節約志向が一段と高まり、従来から特売が多かった食パンでは低価格競争に拍車がかかった。今では、フジパングループの「小麦の朝食」など、低価格帯の食パンでは1斤8090円といった価格での販売が常態化している。 

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