「金の食パン」で起きたパラダイムシフト

発売4カ月で1500万個。大ヒットがもたらした業界の変化

 だが、セブン-イレブンの中村氏は「メーカーは、消費者が安いものを求めていると誤認している」と指摘する。専門店などでは、1斤300400円でもヒットしている食パンがあるからだ。「顧客の満足度を考えるならば、(低価格ではなく)上質の方をやってみよう」という考えから、商品開発が始まった。

松・竹・梅で「松」にあたる食パンがなかった

高級路線の狙いはそれだけではない。国内のパンの生産数量(パン用小麦粉使用量)を見ると、食パンの生産数量は菓子パンの約1.5倍ある(12年。一般社団法人日本パン工業会)。ところが、セブン-イレブンでは菓子パンや総菜パンの販売が大半を占め、食パンの品揃えが手薄だった。 

「金の食パン」は4月発売。「ユアクイーンゴールド」は9月に発売された。

比較的安価な「セブンプレミアム」の食パン、敷島製パンの「超熟」など中価格帯食パンは取りそろえていたが、「松・竹・梅でいえば、松にあたる食パンがなかった」(中村氏)。食卓での需要の大きなカテゴリーで品ぞろえを増強し、「セブン-イレブンが食卓に入り込む」(同)ために、「松」の食パンが生み出された。

その狙いは見事に的中し、セブン-イレブンでの食パンの売上高は前年比6割増と飛躍的に伸びた。直近の食パン売上高のうち、4割超が「金の食パン」で占める。また、「金の食パン」の購入者のうち、約半数はそれまでセブン-イレブンで食パンを購入したことがなかった新しい顧客だという。そうした中、パン最大手の山崎製パンから「ユアクイーンゴールド」が発売された。

 「メーカーさんがPBを真似される時代に入ってきた」。鎌田氏はセブンプレミアムやセブンゴールドといった高付加価品の展開に確かな手ごたえを感じている。これまで小売りのPBといえば、メーカーのナショナルブランドを目安にして作られるのが通例だった。「(セブンプレミアムを発売した)07年当時は、例えば日清カップヌードルをベンチマークにして(PBのカップラーメンを)作っていた」(鎌田氏)という

次ページNBがPBを追随する動きが加速する?
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 地方創生のリアル
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • 働き盛りでがんになった人たちの行動
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「満足度No.1」は本当か<br>英語コーチング広告で紛糾

近年急拡大し伸び盛りの英語コーチング業界が広告・宣伝のあり方をめぐって真っ二つに割れています。大手プログリットの広告に対し、同業他社が猛反発。根拠薄弱な宣伝文句が飛び交う、ネット広告の構造問題に迫ります。

東洋経済education×ICT