グリコが化粧品参入で狙う脱"アイス偏重" コアの糖質技術生かす
「ポッキー」「プリッツ」で有名な江崎グリコ。菓子大手として知られるが、アイスクリーム、カレールウ、ソーセージなど菓子以外にも加工食品、乳製品、畜産品などにも多角展開している。そのグリコが一見、畑違いの分野へ進出した。
グリコは10月末、化粧品市場に参入した。初めて自社ブランドの化粧品「gg」(ジージー)を投入したのだ。第1弾はローションとゲルクリームの2種類。どちらも真っ白なボトルに「グリコ」キャラメルのパッケージを思わせる赤いラインをあしらった、シンプルなデザインが印象的だ。高級品と位置づけるが、通常の販売ルートである百貨店や専門店を通さず、まずは通販限定で展開する。
菓子やアイスクリームなどの食品を得意とするグリコ。化粧品とは結び付きにくいイメージで、まったくの飛び地へ踏み込むようだが、グリコにとってこの分野への参入には二つの意味で必然性がある。
まず、化粧品にはグリコのコア技術が生かせる。
糖質の基礎研究を応用
化粧品に付けたブランドである「gg」とは、グリコのgとグリコーゲンのgを組み合わせた。グリコは1921年に栄養菓子「グリコ」キャラメルを発売して以来、グリコーゲンをはじめとする糖質の基礎研究を続けてきた。「gg」にはその技術を応用した自社開発の「EAPグリコーゲン」と呼ぶ保湿成分を含んでいる。
実はグリコは2002年に、「α‐アルブチン」という物質を開発。代理店を通じて、世界40カ国で化粧品原料として販売してきた。これに並行してグリコーゲンの合成技術の研究を進め、今回の自社ブランド化粧品の参入に至ったのだ。
「グリコーゲンは、創業のきっかけとなった思い入れの強い素材。自社ブランドでの化粧品をやりたいという強い思いがあった」と、「gg」の商品化に携わったマーケティング本部・マーケティング部の稲葉真理子氏は語る。