局地的ヒット狙うグリコ・ポッキーの挑戦
切れ込みの入った麺のように長い生地。45メートルのオーブンを4分間でくぐり抜けるうちに縮んで分断されると、誰もが見覚えのあるこんがり焼けたお菓子になる。江崎グリコの定番商品「プリッツ」だ。
埼玉・北本市の新工場に併設された「グリコピア・イースト」では、プリッツの製造・包装工程、ポッキーの包装工程をガラス越しに見学できる。北本新工場は、北海道、東京、福井の工場を閉鎖・集約して、今年4月に稼働を開始したポッキー、プリッツの生産拠点。1日にポッキー7万箱、プリッツ5万5千箱を生産する。
ポッキー、プリッツは1960年代に発売されたグリコのロングセラー商品だ。ただ、この第1四半期(12年4~6月期)は前年割れの状態だ。「これでいいとはまったく思っていない」と江崎勝久社長(=下写真=)は言う。
挽回のカギになるのが、北本新工場の武器である「多品種少量生産」の活用である。グリコは北本新工場に100億円を投じて最新鋭の設備を備え、生産ラインの切り換え時間を短縮した。これによって、容量や味を変えた10種類の商品を常時つくり分けることができるのだ。
これによって、季節限定品やファミリー向け大袋商品のように、その時々で売れ筋となる商品の生産量を適宜増やすなど、需要の細かな変化に対応していく。「単品の工場は稼働率が高くてよいが、工場としてはできるだけいろんなものをつくれたほうがいい」と江崎社長は話す。