キッコーマン「生しょうゆ」、3つの革命 1500社がひしめく激戦区でスマッシュヒット

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一方、この“味”も新鮮さを保てなければ意味がない。もともと、しょうゆは空気に触れると酸化が進み、約1カ月で色や風味がどんどん劣化してしまう。

そこでキッコーマンが挑んだ二つ目の「革命」が、新鮮さを徹底的に保つ新たな容器の開発である。まず、初期に投入したのが500mlのパウチ入りタイプだ。パウチの注ぎ口に逆止弁を付けたのがミソ。これで、しょうゆが出ても空気の入らない構造の容器ができた。「品質が劣化してしまうと、せっかくの生しょうゆの良さが伝わらない。フレッシュな状態に保てる容器が必要だった」と茂木氏は振り返る。

最後まで立てて使えるボトルを開発

ただ、パウチタイプには重大な弱点があった。中身のしょうゆが減ってくるとパウチが平らになってしまい、立てて置いておくことが難しくなってしまう。最後まで直立して使いやすく、食卓でも映える容器を作れないか――。そんな問題意識から、三つ目の「革命」が生まれた。

キッコーマンは「しぼりたて生しょうゆ」向けに、柔らかいプラスチックボトルに、しょうゆが入った内袋を入れた、二重構造の卓上ボトル(200ml)を新たに考案した。注ぎ口には、内袋からしょうゆを出しつつも空気を遮断する弁と、内袋と外側のボトルの間に空気が入るようにする弁の二つを付けた。

ボトルの機能と同じくらい重要なのが、ボトルのデザインだ。キッコーマンの卓上しょうゆといえば、赤いキャップが付いたガラス瓶が定番。だが、「現代の食卓の色調に合った、もっと“おしゃれ感”のあるデザインが必要だった」(同)。

「キッコーマンの卓上しょうゆには、“赤キャップ”のイメージが定着している。あまりに斬新な形にすると、しょうゆとして認識されなくなってしまう」と茂木氏。そこで、ボトルは赤キャップと同じような形状にした。パウチタイプでは金色を基調にしていたが、卓上ボトルは白地に青や紫のラインが入ったデザインに一新。11年8月に卓上タイプとして発売した。

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