デキない人は「住む場所」へのこだわりがない それは収入や仕事の結果とも直結する
速水:住むところについても、けっこう根性論で過ごしている人は多い気がします。僕はもともと旅行嫌いだし、引っ越し嫌いだし、麻雀の席を変えるのすら嫌なぐらい、保守的な人間なんです。中川さんが本のなかで行きつけの店を何軒か紹介していましたけど、僕は新しい店を開拓するのもすごく苦手で、同じ店ばっかり行ってしまう。料理だって、何か作り方を覚えたら、同じものばかりを作り続けてしまう。そんな人間ですが、たとえば住む場所について「もうダメだ」「これは合わない」と感じたときは、ぜんぶ変えたほうがいいなって、体験的に思いますよ。
中川:引っ越しをしただけで人生は大きく変わります。
速水:そうなんです。ただ、それって普通の話のように思えるかもしれませんけど、実際、エイヤッと引っ越しできるかどうかって、なかなか難しいもの。逃げたくても大半の人たちはそこから逃げられないんですよ。親族がいたり、仕事があったり。いろいろな要素に縛られて、そこから抜け出すコストがどんどん高くなってしまうから。
中川:そのコストをかけてでも、引っ越すべきタイミングってあると思いますよ。
階級的な問題も隠れている
速水:そのとおりです。ただ、たぶんそこには階級的な問題も隠れていて、たとえばアメリカ人は日本人の3~4倍は引っ越しをしているんだけど、移動するにしても生まれ育った場所からは出ない、みたいなところがある。それって、職業だけじゃなく、あらゆる縛り付けが介在しているんじゃないかと。もって生まれた階級みたいなものが、貼り付いているような。だからこそ、そこからいかに自由になるかが非常に大事になってくるんです。
中川:なるほど。
速水:日本の場合も、たとえばマイルドヤンキーの文脈から見て取れるように、「地元に根付いて暮らしたほうが楽」みたいな、そこに縛り付けようとする意識のほうが強くなっているように感じます。これだけ交通もITも発達して、どこに住んでも問題ないくらい環境の流動性は高くなっているのに、それとは逆向きの圧力がすごくかかっている印象です。
中川:ほんの少し環境を変えるだけでも良くなることって多いんですけどね。俺が前の家から今の家に移って、劇的に良くなったのが、ビールを買う環境。
速水:え、どういうこと?
中川:今の住まいの近くに24時間営業のスーパーがあるんです。前は近所にコンビニがあったんだけど、そこで売られていたビールは冷蔵庫に入っているくせにぬるかったんですよね。それで店長に文句を言っていたんだけど、「これが規定の温度ですから」と改善してくれないわけ。