デキない人は「住む場所」へのこだわりがない それは収入や仕事の結果とも直結する
速水:風水的な視点ですね。
中川:そうですね。「お前はこのまま池ノ上にいたらダメになる。いいから、こちらに越してこい」と強く諭されたので、山手通り沿いのボロマンションに引っ越したんです。そうしたら、突然人生が上向いたんですよ。
速水:『ウェブはバカと暇人のもの』がヒットしたり。
中川:ええ。そういう経験があるので、速水さんが今回の本で指摘している、人々が住む場所を選ぶ際に意識される「陰」と「陽」の話とか、しっくりきたんですよね。
速水:そうでしたか。僕が思うのは、たとえば引っ越しなどを契機に、何かに植え付けられた謎の決めつけから解き放たれると、気分や運気は思いのほか変わるものだということ。「閑静な住宅街で静かに暮らすのがいい」とか「自然の近くに住むほうが人間らしい」とか、テンプレ的に語られているイメージに無自覚に縛られて、それが正しいと思い込まされている人は少なくないように感じます。
中川:かもしれませんね。
コストをかけても引っ越すべきタイミングがある
速水:環境による人間の変化は、住むところに限らず、職場も然りです。よく言われることですが、仕事って向き・不向きよりも環境に影響されることが少なくありません。ある会社ではまったく使いものにならなかったのに、違う会社に転職してちょっと違うポジションに就いたら、すごく仕事がデキるようになった……なんて話、わりと普通にあるじゃないですか。
人気アナウンサーがフリーになった途端たいした仕事が来なくなったとか、好成績を残してきたサッカー選手がチームを移籍したとたんにダメになったとか、環境によって仕事の結果が変化するもの。それならば、住むところだって同じですよ。
中川:確かに、そうですね。
速水:今いる環境で無理やり頑張るよりも、移ったほうがいい──そんな場面は多いんだけど、日本人はそういう考え方ができない民族なんです。それは統計的に見る引っ越しの回数からも明らかで、日本人は諸外国に比べて引っ越しをしない傾向が強い。同じ場所に長らく定着することをよしとする民族とも言えます。そういう意味では、終身雇用みたいな感覚が住まい選びにもいまだに根付いている。
今いる場所で頑張って、台頭すればいい、みたいな。部活とかでも「今はレギュラーになれないけど、頑張って2年後にはきっと……」なんて夢みながら、球ひろいから成り上がろうとする感覚。これって、けっこう日本独特の根性論だと思う。
中川:ええ。