デキない人は「住む場所」へのこだわりがない それは収入や仕事の結果とも直結する
速水:そういうことは強く意識されているんですね。
中川:もともと、オレのなかでは大事な取引先に出かけたり、親しい人と飲んだりするときに、徒歩かタクシーのワンメーター程度で行ける距離というのが目安ですね。あと、最寄り駅からのアクセスも重要。古巣の博報堂もオレの大事な取引先のひとつなんだけど、今の住まいからは地下鉄1本で、乗車時間10分程度で行けますから。
速水:そういうことなんですよね。渋谷エリアの家賃は決して安くない。それでも中川さんは、渋谷エリアの中で引っ越しをすることはあっても、その界隈からは絶対に離れなかった。本のなかで、折々の収入と住んでいたところについて細かく解説していましたけど、結局、取引先や情報交換の仲間が渋谷界隈にたくさん存在していたから、そこに留まっていたということ。仕事が頼まれやすく、酒席にも参加しやすい状況に身を置く……。
要はコミュニケーションに関わる部分には惜しみなくコストを投じてきたわけです。つまり、『節約する人~』はつましいおカネの使い方を解説する本ではなく、いかに自己投資するかについて中川流に説いた本ともいえるんじゃないかと。
中川:あぁ、なるほど。そういう見方がありましたか。
速水:「もちろん、そのとおりです!」とは返してくれないんだ(笑)。
中川:だって、自分としては意識してなかったので(笑)。でも、言われてみれば確かにそうですね。
「収入を上げる」ために家を選ぶ
速水:僕の新著『東京どこに住む? 住所格差と人生格差』は、近年高まっている“家賃が高くても都心に住む”という気運に注目して、そうした選択する人々の行動様式やメンタリティを考察しているんだけど、そこで重要視しているのが「近接性」という視点。仕事や食、趣味など自分が大切にしているものの近くに暮らしたいと考える人が増えている、と僕はとらえているのだけど、中川さんはまさに仕事との近接性を意識してきた人なんだろうと思うんです。
中川:かもしれません。オレの場合、家賃コストうんぬんで家を選ぶというより、「収入を上げる」という観点から家を選んでいる傾向が強いと思う。