――上映館が300館と、『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』に比べて拡大されるというところにも、意気込みが感じられます。
スクリーンアベレージがそのままの状態だったらいいんですが。ただ、現在すごくありがたいのが、『ヱヴァンゲリヲン劇場版:Q』の上映前に『ONE PIECE』の予告編が上映されているということ。『ヱヴァンゲリヲン劇場版:Q』も50億円を超える勢いだと言われているんで、それだけの人数に予告編を観てもらえるというのは大きい。純粋にアニメが好きな人も多いと思いますから。
――東映アニメーションの強みとは?
他のアニメ会社と比べ、自分たちで作った作品を、きちんと売ることができる体制が整っていて、会社の中だけで完結しているという点が大きな違いだと思います。東映アニメーションの場合、大泉が制作スタジオで、新宿に営業所がある。新宿には版権とかマーチャンダイジングといった部署がまた別にあって、そこにも多くの人員を割いている。同じ会社の中で、作品を理解している人が版権を管理し、商売ができていることが強みだと思います。
制作から営業・版権管理まで自前で人員を抱えていて、プロジェクトの進むべき方向にきちんと動いてくれる。アニメ作家は割とフリーダムな人が多いんで、作っているうちに段々と方向性が変わっていくこともある。本来ならスカッとするものを作りたいはずなのに、なぜか逆な方向に向かってしまったり……。そうすると、宣伝する方は困っちゃいます。しかし、東映アニメーションの場合はそういうことがない。商売として計算できますし、かつ優秀な人が多いので、バランスがとれた会社だと思います。
子ども向けアニメは難しい
――子ども向けアニメを多く作られていますが、そういう意味での強みはありますか?
実は子ども向けのアニメは、けっこう難しい。アクションを入れたり、おもちゃを絡めたりしなければならないですから。作家性の高い人だとそういったことを「おもちゃなんて」と軽視してしまう。でも東映アニメの場合は、演出家やプロデューサーを社内に抱えているので、おもちゃにからめる、子どもを喜ばせる、といったノウハウが蓄積されている。
外部の人が途中からいきなり入ってくるのは難しいと思います。たとえば『ONE PIECE』をやるといっても、まずはコミックを68巻分読まなければいけない、といったところから始めなくてはならない。東映アニメでは、昔からジャンプアニメを手掛けていますし、『ONE PIECE』のアニメも13年目を迎えました。やはり知っている人でなければ作れない、という自負はあります。
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