経団連が定める新卒採用の選考解禁日は6月1日。実際は約8割の企業が5月末までに面接選考を開始していたのだが、経団連傘下の日本の大手主要企業は6月1日からの面接選考開始を守るスタンスを示している。しかし、開始日から数日~1週間程度で、大手人気企業の多くはすでに内定をほぼ出し切っているようだ。どうしてそのようなことができるのか。
表向きは6月1日の選考解禁を守っている
現在、日本には採用選考の統一された時期の取り決めがあるわけではない。かつては経済団体と当時の文部省、労働省などが関わって「就職協定」という統一的な時期のルールを作った時代もあったが、あまりにも破られるために協定は廃止された。それから紆余曲折があって、いまでは経団連の自主的なルール(「採用選考に関する指針」)という位置づけになっている。そもそも6月1日面接選考解禁というルール自体は、経団連傘下の企業以外は守る必要がない。守る・守らないではなく、いつやるかは自由なのだ。
しかし、経団連に加盟する日本を代表する大手主要企業の多くがこのルールを守るスタンスを示しているために、あたかも日本企業全体の選考時期に関するルールであるかのように見られる傾向がある。とはいえ実際は、企業全体の約8割が5月末までに面接選考を開始しているのが今年の現状だ。採用、人事関連の調査研究機関であるHR総研が企業に対して6月初旬に緊急調査を実施したところ、5月末までに77%の企業が面接選考を開始しており、従業員規模1001名以上の企業に絞ると86%が面接選考に入っていることが分かった。
ただ、繰り返しになるが、経団連傘下の日本を代表する大手主要企業は「6月1日面接選考解禁」を守るスタンスを建前として示している。だから、こうした大手企業は6月1日から「面接」を開始するのである。しかし、数百人から1000人を超える規模の採用数であっても、そうした大手人気企業の多くは面接解禁日から数日~1週間でほぼ内定もしくは内々定(経団連は10月1日以降を正式内定解禁日としているため、それ以前の内定を「内々定」と呼んでいる)を出し切り、2017年度新卒採用活動の終了段階に入っているところも少なくない。
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