安倍首相、捲土重来の条件 信頼なき圧勝

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さて、日本人は総じて正直で信頼できる人が多いと言われるが、残念ながらそれは1つの職業を除いてである。今皆さんに一番嘘つきが多い職業を思い浮かべていただくと、一番正直でなければならないはずの国会議員が脳裏に浮かぶのではなかろうか。

日本の政治家の嘘や不誠実さに対する不感症は国際的には極めて異例だ。アメリカなどで指導者が嘘をついたとなると辞任につながる大問題である。もしも欧米の“指導者に求める正直さ”の基準が日本の政界に適用されたら、毎日がウォーターゲート事件であろう。

最近の米国大統領選でも、私の米国人の友人が異口同音に「政策はともかく、オバマ大統領は正直で誠実で本心から話しているが、ロムニー候補はそうではなかった」と指摘していた。

信頼無き圧勝

衆院選で自民党が圧勝した。以下のありきたりの話を選挙から3日も経った今日再度申し上げるのは当たり前すぎて心苦しいのだが、多くのマスコミで書かれているように自民党への信頼で投票されたというより、マニフェストと正反対の政策を実行して瓦解した民主党および野合に終わった第三極への幻滅で、消去法的に選ばれたというのが正しい。しかも政策の中身について広範な国民から信頼を受けていないのに、国の枠組みである憲法改正をも狙えるまでの強大な権限が移譲された。

自民党は、政党支持率が低水準(一部調査では20%程度)にもかかわらず、自公合わせて7割弱の議席を獲得したが、これを選挙制度の欠陥による大勝と思っている人も多い。一票の格差問題などもあるが、そもそも政策を有権者に吟味させない選挙制度に問題があるように思える。

アメリカの場合、党首が3度に渡って徹底的に直接公開議論をし、また大統領選ともなれば2年に渡って政策議論を戦わせる。しかし日本の場合はひと月足らずの短期決戦なので、政党名を連呼して握手をお願いしながら、時には泣きながら土下座して票を有権者に乞う結果になってしまう。

有権者に「助けてください」と懇願している議員に至っては本末転倒で、有権者は国民を助ける政治家を選ぶのであり、助けたい政治家を選ぶのではない。短期間でなし崩し的な選挙が横行するのは基本的に“国民に政策を開示して吟味させたら自分は選ばれない”と確信しているからだろうか。

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