優秀な子を育てる親は「苦手」に目を向けない

学校改革には「変わった先生」がもっと必要だ

小林:それはどういうことでしょうか?

経済的な理由で子どもの可能性の芽が摘まれてしまう…

加藤:たとえば、親子連れに対してRISUを触る機会を提供するイベントで、子どもが興味を示したものを積極的に子どもに与えようと詳しく話を聞きにくるご家族がいます。私の偏見だと言われるかもしれませんが、そうやって前のめりになってくれる親は身なりもしっかりしていて、子どももちゃんとした格好をしている場合が多いです。

反対に、「うちの子はバカだからやっても無駄」とか「こいつはどうせ続かないから」と子どもの前で言ってしまう親もいます。本心かもしれませんが、もしかしたら経済的な理由での躊躇が、子どもの能力や学習態度への期待が低いという言い訳に表面がすり替わっているのではないかと感じることがあります。子どもは、同じものに、同じように好奇心を抱いているのに、経済的な理由で子どもの可能性の芽が摘まれてしまう。企業として、ここにアプローチできていないなぁと感じて歯がゆい思いをしています。

小林:なるほど。そういう点は学校教育、特に公立学校でフォローする問題かもしれないですね。やはり公立学校の中では、経済的な問題を気にすることなく、子どもたち皆にチャンスが与えられるのが望ましい。もちろん私学も例外ではありません。私たちの学校でも、人数にして約70%、金額にして50%程度の奨学金を給付している背景には、経済格差が教育格差につながってはいけないという強い信念があります。

加藤:そうですね。無償教育が果たせる役割は大きいと思います。

小林:でも、質と密度の高い教育には、コストがかかるというのも事実です。たとえば私たちの学校の場合、だいたい現時点でも年間7億円ぐらいが年間のオペレーションにはかかっていますが、約2億円がふるさと納税からの資金で賄われていて、企業や個人の方からも1億円を超える支援金をいただいています。それが元となった潤沢な奨学金を出しながら、ようやく高度な教育が成り立っています。

教師の「採用・養成・研修」に抜本的な改革を

加藤:ICTや奨学金などのシステムや制度の話が出ましたが、現場にいる教師にはどのようなことが求められてくるのでしょうか?

小林:教員改革は必須です。現場の先生方が変わらなかったら絶対に教育は変わりません。採用・養成・研修、この3つに抜本的な改革を行う必要があります。とはいえ先生がすごく忙しいのも事実として受け止めています。だからこそ、先生の育成課程を見直しながらも、現在、先生たちを取り巻いている環境の改善にも努めていく必要があります。

加藤:どのように改善していけばいいとお考えでしょうか。

小林:文部科学省を中心として、ある程度地方自治体に権限や予算を委譲して、そこで教員研修・養成・採用ができるように改革できないかという議論やモデル事業をしている最中なんです。より現在の社会や生徒のニーズに寄り添った形で、目標設定をして、養成や研修を根本的にデザインし直す必要があると感じていますし、採用形態や昇進形態ももう少し多様化してもいいのではないかと思っています。

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