優秀な子を育てる親は「苦手」に目を向けない 学校改革には「変わった先生」がもっと必要だ

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小林:私たちのことを信頼してお子さんを「託して」下さっている保護者の方の気持ちをすごく体現している質問だったなと思ったんです。親も学校を一緒に作っているという考え方なんですよ。だから「何でやってくれないんだ」って文句を言う昨今のいわゆるモンスターペアレントとは対極にいる人たちですよね。

加藤:一文でその親の気持ちまで伝わってきますね。

小林:ただし、これは(人が選べる)私学だからできるのかなと思ったんですよ。学校の理念に対して深いご理解のあるご家庭の子どもだけを入学させるわけにはいかない公立は、もっとすごく状況が難しいと思うんですよね。

加藤:おっしゃっていることはよくわかります。ただ、学校に足りないところがあるなら、自分も何かやったら良いじゃないかと。バリバリ仕事をしながら、PTAの会長をやっている知り合いがいるんですが、民間の手法を学校側にプレゼンして採り入れてもらっていると語っていました。先生を批判するのではなく、親のほうが先生にどうしてほしいかを教えてあげるなど、学校運営に積極的に参加してもらうのもありなのではないかと私は思います。

小林:それはいいですね。それこそ、部活動や安全管理や事務処理などは負担が大きいと思うので、保護者からのお手伝いはすごく助かるはずです。あとはやはりモンスターペアレンツの対応でしょうか。処分について私学は学校側の裁量が大きいですが、公立はそう簡単にはいきません。だからこそ、PTAを通してしか学校に意見が言えないようにして、PTAがモンスターペアレンツに対する防波堤の役割を担ってくれるといいなと思います。

親のいちばん大事なミッションとは?

子どもを良いところをしっかり見てあげてほしい

加藤:あとは学校以外での関わりの時間についてはいかがでしょうか?

小林:そうですね。親のいちばん大事なミッションは子どもの良いところを伸ばしてあげることに尽きると思います。良い所をしっかり見て、褒めて、自己肯定感を伸ばしてあげてほしいです。あとはsense of purpose(目的意識)とresilience(抵抗力・耐久力)でしょうか。

前者は、そんなに重大に構えなくてもいいので、何が好きなのかな? 何をやりたいのかなということを子どもと話すということ。後者は、子どもがあきらめそうになったときに「やりなさい!」ではなくて「これってどうして始めたんだっけ? 誰が始めようとしたんだっけ?」と、押し付けることなく根気強く続けられるようにバックアップさせてほしいなと思います。その点は私も親側として軸がぶれないようしたいと考えています。言うは易し、行うは難し、ですが……私も2児の母親として日々勉強中です(笑)。

(構成:田中 利知、撮影:今井 康一)

加藤エルテス 聡志 RISU Japan共同創業者

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かとうえるてす さとし / Satoshi Erdos Kato

東京大学卒業。コンサルティングファーム(McKinsey & Company)・米系製薬会社等を経て、2014年にRISU Japan (risu-japan.com)を創業。 著書「日本製造業の戦略」(ダイヤモンド社・共著)、編集協力に「日本の未来について話そう」(小学館)、「Reimagining Japan」 (Biz Media LLC) など 講演 TEDxTokyo Salon 教育の未来とデータサイエンス、など

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