優秀な子を育てる親は「苦手」に目を向けない

学校改革には「変わった先生」がもっと必要だ

個性やニーズに即して、授業もカスタマイズされたほうがいい

加藤:その上司との出会いのように、人格形成にまで影響するような経験は、私がやっているRISUのプログラムでは難しいのかなと感じています。私達のようなICT教育では、人対人の教育での影響力の深さに及びません。

小林:そうですね。でも、1対多で波及的に情報を伝えられるICTの持つ特性はマイナスな面だけではないと私は考えています。基礎学力の部分と、そこから派生する応用的な部分が教育にはあると思います。

加藤:なるほど。

小林:基礎学力の分野ではICTの強みは十分に活かせるのではないでしょうか。学力別・習熟度別・少人数制に教育の主流が変わってきています。多様化する生徒たちの個性やニーズに即して、授業もカスタマイズされたほうがいいと私は考えています。一方で柔軟な対応をするために、いきなり教師の定員を上げるというのが無理だということはおわかりだと思います。

なので、あくまで仮の話ですが、1学年3学級で生徒が100人いたとしたら、100人に対して同時に同じ科目の授業を行うのだけれども、習熟度などを考慮して10人ずつに10段階別で個別授業を展開し、基礎的なところをやる30人に対しては3人の学級担任が10人ひとクラスで対応する。応用的なところをやる10人には特別非常勤講師や大学院生などが、そして残りの60人の中間層の生徒にはICTでビデオ授業を行うという方法も考えられます。極端な例と思われるかもしれませんが、これくらいやってもいいのではないでしょうか。

加藤:ICTと人の良さを組み合わせると。

小林:言うだけなら簡単なんですが。学校・学年・教科によってニーズはかなり違うので、どうやって段階分けするかだけでもかなり頭をしぼらないといけません。こういった施策の実現に向けて現場にかなり権限を持たせたり、習熟度別・少人数教育用の予算を捻出したりする必要があることは政府の委員会などでも提案させていただいています。

経済格差が学力格差につながっていってほしくない

小林:教育格差と経済格差の関係性が問題になっているとも感じています。そこの解決策にICTが一役買ってくれることには大いに期待しています。今までは習熟度別授業なんて学校ではやってなかったから、みんなおカネのかかる塾に行っていました。しかし、特に基礎学力の部分においては、もっともっとICTを使うことによって安価で高度な授業を受けられるようになれば、教育格差を解消できると私は考えています。

加藤:そうですよね。子ども一人ひとりの学習ニーズに対応でき、かつ人間がやるよりはるかにコストが低くて済むことは確かです。活用の余地は確かにあるのですが、低所得世帯の学力格差解消をICTだけでなんとかできるワケではないように思っているんです。

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