総選挙が「左派」に最後のとどめを刺す

マイケル・グリーン氏が語る日本政治

――民主党の経済政策についてはどう評価していますか?

そもそも民主党は、所得分配を重視するマニフェストを軸にまとまり政権を取った政党だった。ところが実際には、民主党は、一貫したテーマをまったく欠いたままで、継ぎはぎでまとめた政策の導入を図ることに終始した。

たとえば、消費税の引き上げは、高齢化が進む状況を考えると、必要とされる措置には違いない。しかし、民主党が消費税引き上げを推し進めたのは、財務省が菅氏を説得したからだ。菅氏は経済学の基礎を学んだことがなかった。

消費税引き上げは、財務省の懸案である財政問題を解決するために導入が決まったのであって、経済成長を目指すための調和のとれた戦略は視野になかった。その意味では、民主党内においても前原氏などが、消費税に関して菅氏や野田氏に批判的な姿勢を示したのは正しかった。

成長戦略として盛り込むべき内容は、極めて明白だ。つまり自由貿易協定(FTA)の締結、労働法の改定、税制改定、国家としての持続可能なエネルギー戦略がこれに当たる。

民主党は、図らずも成長促進策の必要性を認識するに至ったが、いまだに経済を成長させるための明確な戦略を持っていない。

中国が安倍総裁への道を開いた

――来る総選挙において、日本の有権者はどのテーマを最優先して投票するでしょうか。

有権者が「希望と変革」に大きな望みを託して投票することはないだろう。民主党に大勝利をもたらした09年の状況とは大きな様変わりだ。「不満は残るけれども元の自民党に戻るしかない」というあきらめの感情が蔓延している。

だからこそ自民党が優勢なのだ。民主党の政権運営が目を覆うばかりであったために、日本の国民は「自民党政権もひどかったが、それでも自民党は実際には国政の運営に関して民主党よりはまだましだった」と判断しているのだ。

――ただ、なぜ安倍氏なのでしょうか。彼は経済政策に詳しいとは言えません。

自民党が党の総裁として安倍氏を再登板させた主な理由は、中国に対する懸念だ。もし中国が尖閣諸島に関してここまで挑戦的な態度に出ていなかったならば、石破茂氏または石原伸晃氏が自民党総裁に選ばれていた可能性がある。その意味では、中国こそが安倍総裁誕生への道を開いたといえる。韓国の李明博大統領も、竹島への上陸と、天皇に関する無礼な発言により、安倍氏の返り咲きに少しばかり寄与したといえるが、中国の影響とは比較にならない。

中国に対する懸念は、安倍氏が一貫して掲げてきたテーマであり、「われこそが豊富な専門知識を備えた第一人者だ」と自負している。中国が挑戦的な行動に出ているからこそ、外交政策に関する安倍氏のメッセージが人々の共感を得ているのだ。

※グリーン氏の外交政策に関するインタビューはこちら

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