常見:プロレスは場末でもなんでもない。リングには大きな魅力があって、その雰囲気に惹かれた人たちが集まってきているのも魅力でしょうね。
いつか報われるぜ!
常見:プロレスは社会の縮図だ!と冒頭にぼくは言いましたが、まさに日本のプロレスは新卒一括採用モデルですよね。
三田:なにもできない若い子を採って、住むところや食べるものを与えて、ようやくデビューさせるという日本のプロレスシステムは、日本の企業と重なることがあると思います。米国だとある程度できる人を採りますよね。
常見:「日本企業の働き方はダメだ」論にぼくは疑問をもっています。もちろん、ブラック企業のような問題が生まれるなど、日本企業のダメな部分はたくさんあります。ですが、よくも悪くもジェネラリスト育成を目指して若手にいろんな経験をさせるのは悪いことばかりではないと思うんです。
新日本プロレスは最大手ですから、もともとのポテンシャルの高い若手が入ってきます。棚橋選手と対談した際、伸びる若手と伸びない若手の違いは、ビジョンと野心だと聞きました。プロレスラーになることを目的にするのではなく「こんなプロレスラーになる」「チャンピオンになる」というビジョンがないとダメだと。
というと、もっともらしいですが、世の中を見渡してみると、出世しているかどうかって、けっこう意外な人がしているでしょ。
三田:そうそう。プロレスの場合「俺はこの業界のトップになる」とビジョンをもって言い続けた内藤哲也選手は、ずっとファンから認められませんでした。あれだけ身体能力が高くて、テストもダントツの成績で入っているのに、5歳下の後輩であるオカダ・カズチカ選手にばかりみんなが注目していました。
そうしたら、去年、急にグレて、入場曲が流れても入ってこなくなって。そこでブレイクしたと(笑)。だから、まっすぐだったころは応援されなかったのに、長年の鬱屈した気持ちに拍手喝采が起きた。
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