堺屋太一「人が集まるイベントの創り方」 『人を呼ぶ法則』を書いた、堺屋太一氏に聞く

✎ 1〜 ✎ 37 ✎ 38 ✎ 39 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

──成功した万博や海洋博は雛形にならないのですか。

雛形を学ぶと模倣になり、独創性が排除される。定型になってきて、その定型を遂行する組織が無責任な下請け回しを行う。

「人を呼ぶ法則」を生かすにはプロデュースの10段階法を心掛ける必要があるが、まじめにやる組織はほとんどなくなった。

「人を呼ぶ」には、まず志を立てないといけない。誰が何の目的で何をするか。志を明確にする。その次にコンセプト、何が中核か。どういう仕掛けで動かすか。優秀なブレーンが正確なコンセプトを作って、それに従って基本計画を立てる。

──基本計画の前に、ストーリー作りやシンボルの決定が必要ともあります。

どういうストーリーを作るか。空間的にも時間的にも一つの事業がどういう展開になっていくか、出来上がりの姿を想定する。

博覧会ならまず博覧会場という空間を決める。そして、その中で人々はどう動くか。1日、1週間、1カ月、あるいは季節ごとの絵を描く。日本人は緑に飢えているから木を植えて散策路を造れといわれても、現実はその木1本に100人の観客があふれる大混雑になる。それでは静かな緑の散策路にはなりえないし、もし静かだったら博覧会は大赤字だろう。そういう時間的・空間的状況を完全に想像しないといけない。だから初めにストーリーを書く。

しかし、コンセプトやストーリーを書いても建築家や音楽家は読んでくれない。読ませるにはシンボルがいる。誰もが無視できない象徴を据えるのだ。これらの手続きをきちんと取ることだ。

──日本は「知価社会」になると予言して四半世紀が経ちました。

一向にならない。中国はやっと工業社会になった。米国は工業社会から知価社会になった。日本は工業社会にとどまったから中国や韓国につかまり、企業は赤字になっていく。日本ではモノを作る話ならまじめに聞くが、知恵は値打ちがないと考え、耳を傾けない。ハードを絡ませないと喜ばない。少なくとも権限と利権を尊ぶ意識を早く変えないといけない。

(聞き手・本誌:塚田紀史 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2012年12月8日号)

さかいや・たいち
1935年大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。日本万国博覧会を企画、開催。沖縄観光開発やサンシャイン計画を推進した。在職中の75年作家デビュー。78年退官、予測小説の分野を開き、イベントプロデュースを活発に行う。98~2000年経済企画庁長官。

『人を呼ぶ法則』 幻冬舎新書 840円 246ページ

  

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事