「どうせやるなら、楽しくやりたい」を信条に、スタークリエーターとして走り続ける佐藤可士和氏。クリエーティブな仕事とは何かを、若者に向けて語る。
クリエーティブかどうかは、マインドの問題
──ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパンといった先端企業のクリエーティブディレクションを手掛けてきました。
クリエーティブのスタイルとして、結局、本質は何なのか、そう見続け、考え続けることで答えが必ず見つかっていくと思っている。枝葉を徹底的にそぎ落とし、真剣に見ようとしないと本質は見えてこない。何が本質かと考え抜かないと、それに突き当たらない。若いうちから、考え続ける習慣をつけるのが大切だ。
──考え続ける?
クリエーティブかどうかは、つまるところマインドの問題なのだ。能動的に何かをやろうと思っているか受け身なのか。クリエーティブの仕事は価値の転換そのものだからだ。一般の人が普段踏み込まない「感覚の領域」をフィールドにする。そこで誰もが見過ごしている物事に気づくかどうかだ。
──「失敗は成功と比較して分析せよ」「不満は納得と課題に分解して考えよ」とあります。
失敗や不満は大きなファクターで、そう簡単に昇華できるものではない。私自身、今もすべて思いどおりになるわけではないから、それらにどう向き合うかはけっこう大きな問題だ。向き合い方がネガティブになると、あきらめに結び付き、その後の障害になってしまったりする。
たとえば不満。不満は完全になくなることはない。しかしそれでいい。不満は次につながる課題になる。黙っていては、不満は不満のままだ。感じたら言葉にして伝え、コミュニケーションを取る。そうすれば、不満は納得となり、前向きなエネルギーへと転換できる。