マインド的には、半分ユニクロの人
──「ビックロ」というのも東京では目につきます。
別のコンセプトで作っているものだ。ニューヨークやロンドン、パリ、あるいは銀座のグローバル旗艦店は、もっぱら美意識ある超合理性でやっている。確かにユニクロ全体のブランディングもそれに近いが、だいぶブランディングが進んで、「ビックロ」で新たなところに出ていくに当たり、イメージ面でも今までずっと守ってきたものをわざと壊した。壊すことによって、ユニクロがブランド社会で占める面積比を大きくしていこうとした。
ブランディングは、社会の中でどういう位置でどの程度の面積を占めているか、その領域をはっきりさせる作業であり、ユニクロではそれを革新的にコントロールしている。こんなこともやるのかと言われるほどに少し歪(いびつ)な形にした。ビックロについて、ニューヨークやパリ、銀座の店舗はきれいでかっこいいと思うのに、何でこんなことをするの、と疑問に思う人がいても、当然いい。そこを包含していくような、もう少し大きいイメージを取りに行くための施策の一つとして、ビックロを考えた。
──経営戦略と一体の役割です。
一体になっている。インターネット時代になって、情報をモノやサービスとともに消費する社会になってきている。ブランド戦略イコール経営戦略だし、ブランディングは経営戦略の一翼を担う。私自身、コミュニケーション領域ではかなりかかわっている。もうマインド的には半分ユニクロの人のようなものだ。
──新しい領域としては日本財団とも。
去年10月に発表したが、設立50周年の日本財団のCI(企業イメージ確立戦略)やブランディングを手掛けている。こういうソーシャルな活動にもクリエーティブがどんどん入っていったほうがいいと思っている。大震災もあり、日本財団フォー・ソーシャルイノベーションとし、ソーシャルイノベーションのために日本財団は活動すると規定した。そういう社会的なことにも興味がある。
(聞き手・本誌:塚田紀史、撮影:今井康一=週刊東洋経済2013年2月2日号))
『佐藤可士和さん、仕事って楽しいですか?』
宣伝会議 1050円 141ページ
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