ハーバード卒であらずんば、人にあらず!? エリートが築く「学歴ブロック経済圏」

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まず親愛なるみなさんの職場の中でも、えりすぐりのエリートとして思い浮かぶ、同僚や仕事仲間のスペックを思い出してみよう。

たとえば、香港のプライベートエクイティの世界では、学歴はハーバードMBA、スタンフォードMBAは基本で、その中でもDistinction(成績上位10%の学生に与えられる評価)をとっている人が周りにゴロゴロいる。彼ら・彼女らのレジュメを拝見していると、 「ハーバードかスタンフォードを卒業していないと、人にあらず」といった感すらある。

しかもそうした人たちは、学部時代にはプリンストン、イェール、これまたハーバードなどで、magna cum laude(優等) やsumma cum laude(最優等)といった、賢げで立派そうな学業上の栄誉を得ている。

ただ、プライベートエクイティ業界で、高学歴な人材が好まれるのは、顧客である投資家の目から見れば、道理にかなっている。まだ何に投資するかわからない人に巨額のおカネを預けるのだから、最も優秀な人たち(定義はさておき、一般的な意味で)の中でも飛び切り優秀だった、という人が資本市場の信用と資金を得るのは理解できることである。

家族も、友人も、仕事相手もハーバード

さて、輝かしい学校名は大学院・大学名にとどまらない。

本格的な上流階級の子弟はその前の高校、中学時代からフィリップス・アカデミー(米国東部の名門ボーディングスクール。卒業生の多くがハーバードなどの名門校に進学)やイートン校(英国の名門パブリックスクール。首相を多数輩出)、そして世界一の名門、京都・洛星高校でお友達同士だったというケースが多い。

なお大学卒業後の職場まで同じということもある。ゴールドマンのニューヨークオフィスで一緒に働き、MBA取得後は香港の投資会社KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)でも同期になる、といった具合である。

もちろん、家族も金持ちで、何々財閥の御曹司とか、祖父母の代までハーバード、ウェルズリー(米国東部の名門女子大。ヒラリー・クリントンの出身校)の卒業生という人もたまにいる。思えば私がその昔働いた某外資系金融機関でも、マネジメント層はイートン校つながりで、あの高貴そうな(下々の者を馬鹿にした感じの)偉そうなイントネーションでお話になっておられた。

グローバル金融の世界において、学校時代のつながりは非常に重要で、投資案件なども大学時代の内輪サークルで回っていることが多い。やれ「スタンフォードのMBAで同じクラスだったセバスチャンの紹介で……」とか、「ハーバードの学部時代にウェンディと部屋が一緒で……」とか、「イートン校時代からの親友の嫁さんがリリアンで……」といった感じである。

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