大学入試を変えれば、すべてが変わる 韓国の英語力が日本を突き放した理由(下)

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さて、ここからは、韓国の英語教育関係者に現地で取材をした内容を紹介していきます。もちろん、国の規模や社会構造が違うため、日本で同じようなことが簡単にできるわけではありませんが、ひとつの成功例として学ぶことは多いはずです。

前回の記事では、韓国の大学受験において、L(リスニング)、R(リーディング)、S(スピーキング)、W(ライティング)の4技能を万遍なく試す統一試験「NEAT」が導入されたことを紹介しました。

国の経済9割弱を対外貿易に依存しており、英語による交渉力、セールス力の向上が急務であった韓国だからこそ成し遂げられた大変革とも言えるでしょう。一方、そこまで切羽詰まっていない日本の英語力は、ほとんど変化していません。

しかし、経済のグローバル競争が激化する中、日本でも英語での交渉力を高めていかなければならないのは明白です。そのためには、韓国が行ったような大学入試における英語試験の大変革を、一刻も早く実行するべきでしょう。

韓国は国の指導で、偏ったテストを抑制

韓国では、個々の大学が読解や翻訳などに過度に偏った入試問題を作らないよう、国が指導しています。そのため、大学側はTOEFLやTOEICなどの実用英語検定を用い始めていますし、今後は、NEATの採用も広がるでしょう。つまり、大学が個別にテストを作る時代は終わり、専門家集団が作成した国家統一試験で英語の実用化が図られるようになったのです。

一方日本では、いまだに各大学が個別に英語の入試問題を作っています。そのほとんどがリーディング(文法と語彙を含む)に特化した非常に偏った問題です。語順の並べ替えや部分翻訳、穴埋め問題など、内容は昔と劇的には変わっていません。英語の実用性を測るという点において、NEATやTOEFL、TOEICなどと比べ、クオリティがたいへん低いと言わざるをえません。

世界的に見て最近の英語テストは、LRSWの4技能を自国の言語をなるべく使わずに図るように進化しています。そんな中、相も変わらず日本語を使いまくり、リーディングに異常に偏った日本の入試問題は完全に時代に取り残されています。

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