一昔前までは日本と同じくらい英語が苦手だった韓国は、ここ15年ほどで英語教育を刷新し、英語力を一気に伸ばしました。英語教育日韓戦の前半戦は、韓国の圧勝です。その理由は何なのでしょうか?
最大の理由は、勉強の先にあるテストを着実に良いものに変更してきたことだと、私は考えています。
学歴社会である韓国では、18歳までの学習の目標は「良い大学に入ること」です。いくら小学校から一生懸命英語を勉強しても、英語習得のカギを握る中高生時代に、偏ったテストに向かって学習していては、世界に通用する英語力は身につきません。
さらに、社会人になってからも、TOEIC試験のL(リスニング)とR(リーディング)の勉強ばかりしていては、バランスのよい英語力は身につきません。
ウォッシュバック効果の魔力
韓国が進める改革の狙いは単純明快です。
大学入試をクオリティの高い4技能型の資格試験に統一し、高校生が複数回受験できるようにするのです。ビジネス界ではすでに、TOEICスピーキングテストを導入し、そのスコアで社員を評価し始めています。
大学入試やTOEICのようなテストには「ウォッシュバック効果」と呼ばれるものがあります。これは、テストから逆算して教育システムが構築されるテストの波及効果のことをいいます。悪い例としては、「大学入試でマニアックな文法問題ばかり出題されると、テストの点数を上げるため、学校でも塾でも予備校でも文法の授業ばかりになってしまう」ということです。
実際に日本の多くの学校や予備校・塾では、本来教えるべき実用的な英語ではなく、文法や読解(それも和訳)に偏った教育がされています。また、会社員はTOEIC試験のマークシートを塗る練習ばかりしています。
現在の日本は、いくら「実用的な英語を!」「小学生に英語を!」と連呼しても、この大学入試の「ウォッシュバック効果」によって、英語教育改革の努力が潰されてしまっているのです。
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